日本語学習の継続のために必要なこと
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
補習校や日本人学校では新年度が始まりました。多くの子どもが、新しい教科書を手にして、これから始まる1学年上の授業が楽しみでもあり心配でもありという複雑な心境だと思われますが、頑張ろうという気持ちはいっぱいだと思います。
しかし、1カ月を過ぎると、その気持ちに陰りが出てくることがあります。特に小学4年生以上や中学生にはその傾向が目立ちます。教科書の新出漢字の数が多くなり、各教科の用語も難しくなるからです。前の学年までの漢字や教科書の内容が十分習得できないまま進級した場合には、授業内容が分からず、他の子どもについていけないという事態に陥ります。
子どもの努力だけでなく保護者の協力が大切
このような事態を避けるためには、日々の学習の積み重ねが大切であることは言うまでもありません。週1回の学校だけではなく、家庭での学習時間を確保する必要があります。宿題をすることも大切ですが、予習や復習も毎日するように心がけましょう。教科書の音読練習や読めない漢字や分からない言葉の意味調べは、毎週欠かさずに行うべきでしょう。授業で教科書が読めなかったことや漢字テストで悪い点をとったりしたことが、学校をやめるきっかけになることもあります。家庭での学習には保護者の協力も重要です。
また、仲良しの友人を持つことも重要です。補習校の卒業式では、日本語で学習することは大切だと分かっているが、やめたいと思った時期が何度もあった。しかし、続けてよかったというスピーチをよく聞きます。そして、続けられた理由の一つが友人の存在です。補習校は性質上入れ替わりが激しいですが、別れがあれば新しい出会いもあります。また、保護者のつながりで子どもが仲良しになることもありますし、学校外で遊ぶには保護者の送迎などの協力も必要です。
このように、保護者も協力し、次の学年への進級を目指して頑張っていただきたいものです。
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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