帰国生入試が受験できるのかどうかを確認することが大切
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
現地校の年度末が終了し、多くの生徒が続々と帰国しています。帰国する中学生の7割は公立中に進みます。公立中の場合、高校入試の受験が必要です。帰国生入試の有無や選考方法は、公立高校では都道府県、私立高校では学校によって異なります。帰国生入試実施校の多くが、海外の学校に2年以上在学し、帰国後2年以内なら出願条件を満たしています。したがって、中学2年生で帰国すれば帰国生入試が受験できますが、中学1年生で帰国した場合は、国内生と同じ入試を受験せねばなりません。帰国までの在外年数や日本の学習の状況にもよりますが、それなりの苦労が待っています。
高校入試では中学1年生から3年生までの成績を提出する必要があります。補習校では国語と数学のみで、社会や理科は学習していない生徒もいるでしょう。また、日本の中学校では保健・体育、技術・家庭、音楽、美術も必修科目で、これらの成績も入試に影響します。帰国生が9科目すべてで好成績を上げることは、なかなか大変です。
また、国内生と同じ入試では、ほとんどの公立高校や多くの私立高校で国語、社会、数学、理科、英語の5科目が課されます。帰国生入試では多くの学校が国語、数学、英語の3科目なので、帰国生入試の受験資格がない場合、帰国生入試を実施していない学校を受験する場合は、5科目の受験勉強が必要になりますので、かなりの負担となります。
一方、日本の中学校では部活動が盛んにおこなわれていて、放課後のみでなく早朝や休日にも活動があることも珍しくはありません。また、学習塾や習い事、そして自宅での学習での時間も加えると、日本の中学生はハードなスケジュールをこなしています。帰国生の場合、自宅学習の時間をより多く取る必要がありますので、よりハードとなることが予想されます。
帰国後に公立中に進学する際には、帰国生入試が受験できるのかどうかを確認することが大切ですし、中高一貫校への進学も視野に入れるとよいでしょう。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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