小学校では外国語活動の拡充しプログラミング教育が必修化される
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
学習指導要領が、小学校で2020年度、中学校で21年度、高校で22年度に改定されます。この改定は先の話ですが、それに向けて日本の学校に少しずつ変化が見られるかと思います。
改定案では、知識偏重から脱却すると同時に、思考力や表現力を育成する方針が打ち出され、育成すべき資質・能力として、次の三つの柱が示されました。
●知識・技能(何を理解しているか・何ができるか)
●思考力・判断力・表現力など(理解していること・できることをどう使うか)
●学びに向かう力・人間性など(どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか)
これらの育成のために、アクティブ・ラーニングという学習法の活用を推進し、これによって、自ら学習に向かう「主体的学習」、児童生徒同士や教員、地域の人々と協働的に学習する「対話的な学習」、修得した知識、考え方を活用し、問題を発見したり解決したりする「深い学び」の三つの実現を図るとしています。
次期学習指導要領では履修教科の変更も見られます。小学校では外国語活動が中学年(3・4年生)に前倒しされ、週1コマ(45分)で実施、高学年では教科化、週2コマで実施されます。ただし、これ以上授業時数を増やせないため、正規授業は1コマとし、朝の会などの空き時間に10分から15分をモジュール学習(短時間学習)で指導することも可能とされています。
授業では、定型表現を使い、児童同士で質問したり、それに応えたりするのに加え、読み書きの基礎も身につけ、600から700語の英単語を学習させることが目標とされています。
このほか、AI(人工知能)やロボットの普及などによる今後のグローバルな「第4次産業革命」に対応するために、プログラミング教育の必修化も打ち出されています。
次期学習指導要領導入後の授業は、北米で学んだ子どもたちが実力を発揮しやすいともいえますが、より一層日本語の表現力を身につけることが重要になりそうです。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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