新しい簡易な方法は血液検査で行える

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出生前診断20
~妊娠第1期:ファースト・トリメスター
簡易な検査で精密な結果が得られる時代に突入した(1)~

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第55回

前回まではスクリーニング検査で染色体異常の可能性が示唆された場合に、更に指摘された異常について精密に正確に調べることができる伝統的な出生前診断について説明しました。従来から行われてきている非常に信頼性の高い二つの出生前診断の方法のうちの一つである絨毛(じゅうもう)検査(CVS)がファースト・トリメスターで可能であることから、前回、説明を行いました。このCVSの結果の染色体異常の確実性は98%である、とも説明しました。

今回からは、この従来の伝統的精密検査方法に匹敵する結果が得られる新しい簡易な方法が出現したこと、その検査について説明していきます。以前は、妊婦の一般的診察の一環であるスクリーニングで更なる検査が必要とされた場合、出生前診断としては侵襲的方法である絨毛検査(CVS)や羊水検査のみが可能でした。これらの伝統的な精密検査は絨毛や羊水を採取する必要があります。しかし、この新しい簡易な方法は血液検査で行えることがリスクを伴わず、魅力であるため、この数年、市場での使用が拡大しています。

現在、広く使用され始めている精密検査方法に匹敵する出生前診断である血液検査は二つあります。二つとも、1週目から12週にあたるファースト・トリメスターで行い、高い正確度で結果を得ることができます。「マタニティ21」と「ハーモニー」という名称で知られていますが、前者は妊娠9週間目から、後者は妊娠10週目から検査が可能である、と謳っています。

マタニティ21は2011年から米国市場に出現し、産婦人科医、妊婦の間で語られ始められました。特に性別を知りたいという米国の妊婦が、この検査を行い始めましたが、結果が間違っていたというコメントが複数、インターネットでも流れました。その後、ハーモニーが市場に出現し、弊社が多く代理出産を手掛けたメキシコでも14年頃にはこのハーモニーが妊婦に適用され、非常に信頼のおける検査結果が出てくることを見てきました。

現在は、マタニティ21は「マタニティ21プラス」とアップグレードし普遍的に使用されてきています。

この血液検査でできる出生前診断は、ファースト・トリメスターの簡易スクリーニングではなく、この簡易スクリーニングで問題があると出た場合に実施する出生前診断(CVSや羊水検査)に匹敵する方法です。

つまり、更なる検査が必要である、と出た場合に、ファースト・トリメスター中に可能であるCVSの代替として検討できる簡易な方法である、と言えます。

次回からは、まず、妊娠9週から可能であると言われているマタニティ21プラスについて説明していきます。
(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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