本当に従来の出生前診断の代替になるのか?

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出生前診断21
~妊娠第1期:ファースト・トリメスター
簡易な検査で精密な結果が得られる時代に突入した(2)~

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第56回

今回からは、染色体異常を精密にスクリーニングできる新しい血液検査について説明していきます。この検査の出現は、胎児の健康を知りたい妊婦にとって画期的な生殖医療技術の進歩の恩恵と言える、インパクトの大きなニュースでした。

侵略的な施術である出生前診断(絨毛検査(CVS)や羊水検査)に伴うリスクを回避できるもの、と考えることができるからです。つまり、この簡易な検査によってより精密な結果を得ることができるため、CVSや羊水検査に取って代わるもの、という認識が広がりました。しかし、本当にそこまで信頼性があり伝統的な出生前診断(CVSや羊水検査)と代替できるという市場の考えは正当なものなのでしょうか?

筆者自身も、ドクターらがこの新しい技術を有効に使用しているかを見ているため、前回のコラムで、

〈簡易スクリーニングで問題がある、と出た場合に実施する出生前診断(CVSや羊水検査)に匹敵する方法です。つまり、更なる検査が必要である、と出た場合に、ファーストトリメスター中に可能であるCVSの代替として検討できる簡易な方法である、と言えます。〉

と記述しました。これは、実際、筆者が、以前から使用されている伝統的な簡易血液スクリーニングで胎児の染色体が異常である可能性(確率)がある、という結果が出た場合に、CVSや羊水検査の代替として、この新しい“精密な結果をスクリーニングできる”血液検査に進む、という医療的利用方法を見てきたからです。

しかし、妊婦らの声の市場調査や技術を検証する中、多くの謎と誤った見解が市場にあることがわかりました。市場というのは、患者のみではなく、医師間をも指します。

結論を先に言うと、新しい技術である血液検査は、精密なスクリーニングに留まり、CVSや羊水検査の代替にはなりえない、そこまでの信憑性は望めない、ということです。つまり市場が望むほど画期的とは言えない、ということもできます。

次回からはこの代替できる、という誤った市場の見解の謎について説明していきます。

(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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