高校生は帰国時期の延長やアーリー卒業の検討も
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
1月14日・15日の2日間、大学入試センター試験が行われました。志願者数は57万5967人で、高校生3年生の約8割が志願しました。センター試験は国公立大のみでなく、多くの私立大や短期大が入試方法の一つとして利用しているためです。
ただし、帰国生として受験する場合には、ごく一部の大学を除き、センター試験が免除されています。しかし、海外の高校を卒業しないで帰国し日本の高校に編入した場合には、ほとんどの国公立大を帰国生として受験できませんのでセンター試験も免除されません。また、海外の高校を卒業しても、在学年数が2年に満たないと帰国生入試の受験資格がありませんのでセンター試験を受験しないと国公立大を受験できません。多くの国公立大ではセンター試験の全教科(国語、地理歴史・公民、数学、理科、外国語)を課し、地理歴史・公民や理科は2科目を課す大学もあります。たとえ日本の高校に編入したとしても、帰国生にとってセンター試験対策は負担が大きいです。
一方で、早稲田大や慶應義塾大のように私立大でも海外の高校を卒業しないと帰国生入試が受験できない大学もあります。私立大はセンター試験を利用する入試を行っていても必須ではありませんので、帰国生も受験は不要です。
ただし、帰国生入試は国内生の入試と比べ受験科目が異なります。これは、国公立大も私立大も同様です。多くの大学が国内生には文系学部では英語、国語、数学または地理歴史・公民、理系学部では英語、数学、理科の3教科を課していますが、帰国生入試では多くが、文系学部では小論文と英語、理系学部では数学、理科、小論文と英語を課しています。中には英語の試験を課さない大学もあります。
多くの帰国生の帰国時期は、保護者の所属する企業によって定められていますが、お子さんの大学受験の負担を考えると、海外の高校を卒業したほうがよいので、帰国時期の延長や高校のアーリー卒業などを検討するとよいでしょう。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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