出生前診断15 ~緊急レポート;
ジカウイルス感染症の脅威(3)~ジカウイルスの症状と診断~
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第50回
病院に行くほどの症状ではないため認識しないことも
前々回(11月5日号掲載)から、急遽、妊婦が感染することにより出生した赤ちゃんが小頭症を患う関連性が認められているジカウイルス(ジカ熱)について、リポートしています。前回(12月3日号掲載)は、ウイルスの感染について説明しました。今回は、症状について説明いたします。ジカウイルスのシリーズを終了後、出生前スクリーニング後に進む出生前診断について説明を再開します。
〈症状〉
ジカウイルス接触後、数日後から10日間の潜伏期間があると言われていますが、症状は、デング熱などフラビウイルス属や、チクングニヤウイルス熱などのアルファウイルス属に感染した症状と似ていると言われています。比較的発熱度は軽度で数日で落ち着くと言われています。主な症状は低めの発熱、結膜炎、短期的な関節の痛み斑点状の湿疹がまず顔面に、そして、体中に現れます。また、筋肉痛や頭痛があることもあります。この症状は数日から1週間ほど継続します。ジカウイルスの症状は、病院に行くほどひどくないため、診断が遅れる、もしくは、ジカウイルスに感染したことを認識しないこともありえます。
もし、妊娠中に同様の症状が現れたら、すぐに医師にご相談ください。
通常、ジカウイルスは1週間ほど感染した患者の血液に残ります。つまり、この間、他の蚊が当罹患している患者を刺した場合、感染している血を吸い、この2次的な蚊が媒介になり、他の新たな人々に感染することになります。
〈診断〉
特にジカウイルスが報告されている場所に旅行した後、上記の症状が現れた場合は、単に診察のみではジカウイルスに感染したかどうかを判別することが難しいため、ジカウイルスの感染を確定できる尿検査、もしくは、血液検査を米国疾病予防管理センター(CDC)では勧めています。
次回(2月4日号掲載)は、予防と現状について解説していきます。
(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。