今月のテーマ「夏バテ対策」
〈回答者〉
20 EAST MEDICAL 院長
カマール・ラマニ内科医
Q:本格的な夏を目前に、米国ではクールビズなどがないので夏バテが心配です。日本のようにビタミン注射など夏バテ解消に効く治療は米国にもあるのでしょうか?
A:日本では夏バテしてしまった際、ビタミン注射や点滴などを受けたという人の話をよく聞きますよね。夏バテをすると、体は体温を一定に保とうとかなりのエネルギーを消耗するため、体内の糖を燃焼させ、疲労回復を促すビタミンB1のビタミン注射を摂取します。「ニンニク注射」と呼ばれるものが主流ですが、ニンニク自体が入っているわけではありません。このビタミン注射には、ニンニク独特の刺激臭を発する硫化アリルという成分が含まれているため、そう呼ばれているのです。
しかし、米国人にはあの刺激臭が苦手な人も多いため、ニンニク注射を受ける人はほとんどいません。また、注射よりもビタミン剤などに頼る傾向が強いため、まずは疲労回復のビタミン剤(特にビタミンB12)などを摂り、それでも回復しない場合は点滴や注射を打ちにやってきます。
Q:夏バテはどうやって起こるのでしょうか?
A:高温多湿な環境や建物内外の気温差によって、体は体温を一定に保とうとかなりの負担を強いられます。そのような中、水分不足だったり、暑さで食欲が減り内臓の働きが低下、またクーラーによって体温調整がうまくできず自律神経調整機能が低下し夏バテを引き起こします。夏バテになると、全身の疲労感や食欲不振、立ちくらみや下痢などさまざまな症状が発生します。
Q:他の国では、夏バテ対策としてどのようなことをしているのでしょうか?
A:例えば、インドやタイ、フィリピンでは、唐辛子などの香辛料をよく摂り、発汗を促して体を涼しくするという話を聞きます。メキシコでは「暑いと思うと余計に暑くなるから、暑いと思わないようにしましょう」と精神的な克服を求められ、またトルコでは三食スイカを食べたり、砂糖をたっぷり入れた熱い紅茶(チャイ)を飲むことで暑さをしのぐそうです。このように、世界各国では独自のユニークな対策で、夏の暑さを乗り越えているようです。
(次回は7月第4週号掲載)
(「WEEKLY Biz」2013年6月22日号掲載)