家族が再び暮らしを共にするという理念を妨げる最近の米国最高裁判所の判決(その2)
前回(2月14日号掲載)、両親の移民ビザ(米国永住権)申請に含まれている扶養の子供達の永住権申請において、自身のPriority DateがCurrent(申請者の永住権申請において最終移民申請に進むことのできる段階になる状態)になる前に“Aged out”すなわち21歳になった場合、その子供達は両親が申請する移民ビザの元々のPriority Dateを適用できなくなる、という最高裁の決定がある一方で、特定の状況ではPriority Dateを維持できることとなっていることを説明しました。今回はその例について紹介します。
Joan氏はGaelというメキシコ女性と結婚している米国永住権保持者です。2人にはMateoという17歳の息子がいます。Joan氏が配偶者であるGaelの永住権申請のスポンサーとなった際、Mateoもその永住権申請に加えました。つまり、このケースは永住権保持者の配偶者と21歳未満の子供のための永住権申請で、GaelとMateoは家族ベースのF2Aという種類のメキシコ生まれの永住権申請カテゴリーに該当し、現時点では自分のPriority DateがCurrentになるまで約3年の待ち時間があります。
GaelとMateoのPriority dateがCurrentになるのを待っている間、Mateoは21歳になったため、彼はAged outとなり、母親の永住権申請カテゴリーであるF2Aカテゴリーには当てはまらなくなってしまいました。しかしながらMateoは21歳以上の未婚の成人の子供として、時間に途切れること無くF2Bの申請カテゴリーに変更できることから、Priority Dateをそのまま維持できることになります。あるいはその後Joanが米国市民となる場合においても米国市民の未婚の成人の子供としてF―1カテゴリーに移行することも可能性の一つとなります。このF2BとF―1でのカテゴリーではメキシコ国籍の人は待ち時間が非常に長いため、Aged out扱いとなってしまうという状況は大変不満ではありますが、その両方のケースにおいて、少なくともPriority Dateが維持できるというこの解釈は、それまでの待ち時間を使えるという意味では、有効と言えます。 (次回へ続く)
(次回は4月第2週号掲載)
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