未来を創る卵子凍結(1)

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第13回

ここ最近、日本でも話題にのぼることが増えてきた「卵子凍結」。今すぐ結婚、出産の予定はないけれどいつかの時のために未受精卵を凍結保存しておくというこの生殖補助技術、米国では、20代の未婚女性たちが“将来への備え”として、また多くの企業が女性社員への福利厚生の一環として取り入れてきている。今回はこの「卵子凍結」の可能性について探っていく。

卵子の老化と減少

以前このコラムでもお話ししたように、女性の卵子は胎児のころをピークに減少を始める。そして35歳を迎えるころから急激に減少し、さらに卵子の老化も加速。卵子の老化=質の低下は染色体異常の原因となり、流産という結果を招きやすくなる。残念ながら、老いた卵子を再び若返らせることは今の医学で難しいと言われている。しかし、妊娠・出産という夢を託した自分の若くて健康な卵子をタイムカプセルに保存し、数年後、自分が妊娠したいと思ったタイミングで取り出すことができたらどうだろうか。女性の高学歴化やキャリア志向、晩婚・晩産化という時代的風潮、さらに「不妊」という現代的要素も加わる中で、将来妊娠・出産を望む女性にとってこの「卵子凍結」は新しいライフプランとなるだろう。

卵子凍結する理由

卵子凍結とは、将来の妊娠・出産に備えて卵巣から採取した卵子を凍結保存しておくことだが、いくつかの目的がある。一つは、医学的適応による卵子凍結と言われるもので、主にがん患者に対して適用される。がん治療は長期にわたることも多く、加齢による妊孕力(妊娠する力)低下が懸念されるため、治療に入る前に卵子を凍結することが勧められる。また、子宮内膜症や繰り返し起こる卵巣のう腫などにより、早い段階で卵巣機能が低下してしまう可能性がある人や、早期閉経の家族歴を持つ人もいつか子供を望むのなら若いうちに行った方がよいだろう。

もう一つは前項でもお話ししたように、さまざまな理由で現時点では妊娠は考えていないものの、将来への保険として行う社会的適応による卵子凍結。「今はまだパートナーに出会っていない」「今は仕事、妊娠・出産はもう少し先」など、個々の状況を尊重しつつ、加齢による妊孕力の低下を回避し、妊娠・出産できる未来を温存しておくという現代の画期的なソリューションだ。

融解後の卵子生存率は90%

卵子凍結の技術は30年以上の時を経て飛躍的に進歩し、現在、凍結した卵子の融解後の生存率はおよそ90%と言われている。ただ、卵子凍結をしたからといって必ずしも将来妊娠・出産できるわけではない。凍結した卵子の質、パートナーの精子、子宮内の環境など、さまざまな条件が整った時、卵子凍結は未来の妊娠・出産を保証するタイムカプセルとして実を結ぶ。次回は、卵子凍結の適齢期などより確実な未来を創る卵子凍結についてお話しする。

(次回は4月第2週号掲載)

 

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