卵子と精子の出会いの場「卵管」

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第16回

女性の卵子が男性の精子と出会って受精卵(胚)となり、その後子宮に着床して妊娠する─。このプロセスは皆さんもよくご存知だが、その道のりは予想以上に過酷。卵子や精子の質はもちろん、タイミング、子宮や卵管の状態など全ての好条件がそろった時はじめて妊娠が成立する。中でも、子宮と卵巣をつなぐ「卵管」は妊娠に至るまでの大変重要な役割を担っている。

卵管の二つの役割

厳密に言うと、卵子と精子は卵管内で胚を形成し、その胚は5〜6日かけて卵管を移動し子宮に入る。つまり、卵管は卵子と精子との「出会いの場所」であり、胚を子宮へと輸送する「行路」なのである。しかし、卵管に閉塞や癒着(詰まり)などの異常がある場合、精子と卵子は出会うことができず、また受精できたとしてもその胚が子宮に到達する可能性は低い。その結果、卵管妊娠(子宮外妊娠)となることもある。

卵管は子宮の左右一対にあるので、片方が閉塞していても妊娠できないわけではないし、初めから両方の卵管にトラブルを抱えている人は少ない。だが、どちらか一方の卵管に癒着や傷跡などがある場合、反対側にも何かしらの異常が見られる人が多いというのも事実である。

卵管異常の原因

卵管の異常を引き起こす最も多い原因はクラミジア感染症。クラミジア感染症になると、おりものや腹痛、出血などの症状が出る場合もあるが自覚症状がない場合も多く、気づかないうちに慢性化して炎症が広がり、子宮頸管から卵管に達して炎症を起こし、傷跡を残すことがある。

もう一つの主な原因は子宮内膜症。クラミジアと同様、自覚症状に乏しく、検査を受けるまで気づかない女性がほとんど。これらの病気は最近増加傾向にあり、それに伴って卵管異常による不妊も増加している。

子宮卵管造影検査のススメ

不妊が疑われる場合は、まず最初に子宮卵管造影検査をおすすめする。もしも卵管に異常があったとしたら、いくら自然妊娠や人工授精を試みたところで、受精することも、胚が子宮に到達することもなく、ただ闇雲に時間と不安ばかりがかさんでいくことになるからだ。

子宮卵管造影検査では、カテーテルを使って子宮口から造影剤を卵管に流し込み、卵管上の通過状態や子宮の形態をレントゲンで確認する。卵管が閉塞していれば造影剤が流れないため結果は一目瞭然。流れはするものの、その流れ方が不自然な場合は癒着などの異常が疑われる。ただ、診断結果は医師の見立てによるため、誤診をさけるためにも経験値の高い医師からの正確な診断を受けることが重要となる。

体外受精で妊娠は叶う

現に、最近当クリニックを訪ねてこられた日本人患者さまの中にも過去に卵管造影検査で事実と異なる診断を受けた方がいらした。1人は、日本で検査を受けた際は異常なしとの診断を受けたそうだが、再度こちらでその検査結果をレビューしたところ、当医師は造影剤の流れが不自然なことに気づき、卵管内に癒着を発見した。もう1人は日本で卵管閉塞と診断され、再建手術を経て人工授精を試みたもののうまくいかないと。実際、手術で閉じた卵管を開けることはできても卵管の機能を十分に回復させることが困難であったり、その効果が長続きしないことも多い。ただ悲観する必要は全くなく、その場合は体外受精にシフトすることで、高い確率で妊娠が望める。

不妊治療を受けるにあたり、どの不妊治療が自分に最適かを見極め、最短で妊娠を叶えるためにも、子宮卵管造影検査は欠かすことができない最初の道標となるだろう。

(次回は7月第2週号掲載)

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