妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第20回
最近、ニキビが増えたり、毛深くなったと感じることはないだろうか。また、月経周期や月経期間が極端に長い(短い)、基礎体温に高温期と低温期の変化がない、そして妊活を始めて半年以上経つのに妊娠の兆しが見られない…。これらの兆候が思い当たる方は「排卵障害」の可能性を疑ってもよいかもしれない。
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正常な排卵ができていない状態をいう「排卵障害」は、女性側の不妊要因の約20%を占める。排卵は妊娠の原点であり、排卵せずして妊娠することはない。では、排卵は一体どうやって起こるのか、そして排卵を阻むものとは─。
妊娠と女性ホルモン
妊娠とホルモンバランスが密接に関連していることは皆さんよくご存知だと思うが、この排卵にこそ、さまざまな女性ホルモンの連携プレーが不可欠なのだ。
排卵するためには、まず脳の視床下部から出るホルモン(GnRH)が脳下垂体を刺激し、脳下垂体はLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)を放出。これらのホルモンが血液を介して卵巣に届き、卵巣内の卵子の入った袋(卵胞)を成長させ、やがて卵胞が破れて卵子が排出される。
だが、視床下部からGnRHが出なければLHもFSHも放出されず、排卵は起こらない。それが「中枢性排卵障害」と呼ばれるもので、大きな環境の変化や精神的ストレスなどが原因と言われている。中でも、若い女性に多いのが過度なダイエットが原因のもの。急激な体重減少は視床下部に障害を与え、無月経や無排卵を引き起こす。体重を元に戻してもなかなか排卵は起こらず、排卵誘発剤の手を借りなければいけない場合もある。
男性化する症状
もう一つ、中枢性排卵障害と並んで多いのが、未成熟な卵胞が卵巣内に溜まってしまう「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」。若い女性に多くみられ、LHばかりが過剰に分泌される、いわゆるホルモンバランスの崩れによって起こる。また、血糖値を下げるホルモン(インスリン)が過剰分泌することで、男性ホルモンが増加して卵胞の発育を抑制し、さらに卵巣の膜を厚くして排卵を阻む。
無月経や月経不順、肥満のほか、男性ホルモン過多によるにきびや多毛、低音声などの症状が現れると言われているが、アジア人特有の肌質ゆえにそれら男性化の兆候が見えないことも多い。PCOSの場合、妊娠できる確率はゼロではないが、排卵が起こりにくいということは当然妊娠の機会も少なく、もしも無排卵だと自然妊娠は起こらない。排卵誘発剤や糖尿病薬の服用などによって排卵を促すことが可能だが、それでも難しい場合は卵巣に排卵するための小さな穴を開ける手術や体外受精などで妊娠を可能にする。
生活習慣を整え、ストレスを緩和
その他、卵巣機能の低下、卵胞の成長に必要な甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺機能の低下、乳腺刺激ホルモンが過剰分泌する高プロラクチン血症など、いずれの卵管障害もホルモンバランスの異常が原因となっており、それらは日々の生活習慣や生活環境、ストレスと大きく関わっている。妊娠を望む人だけにかかわらず、バランスの良い食事や質の良い睡眠、適正な体重を心がけ、過度なダイエットやアルコール摂取は控え、そして意識的に心を休めてストレスを緩和する習慣を身に付けることが、正常なホルモンバランスを保ち、妊娠しやすい体を作る第一歩となる。
(次回は11月第2週号掲載)
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