妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第21回
「量より質」という言葉を端々で聞くが、妊娠を望むにあたって必要となる卵子もまさにそうである。胎児期に一生分作られた卵子は途中で補充されることなく、数、質ともに年々低下。特に、卵子の質低下=卵子の老化は、妊娠率の低下や流産率の増加、染色体異常など、いわゆる「不妊」を引き起こす。逆に言えば、たとえ卵子の数が少なくても、妊娠という長く険しい旅をサバイブできる質の良い卵子さえあれば妊娠は十分に望めるのである。
質の良い卵子
では、質の良い卵子とは? まず、長い眠りから目覚め、未熟な卵胞の状態から急成長し、排卵に至れるだけのパワーをもった卵子であること。やってきた精子を迎え入れ、受精するパワーがある卵子であること。そして受精後、着床するまでの数日間分裂し続けるパワーのある卵子であること。これらのパワーを備えた若くて健康な強い卵子だけが無事子宮に着床し、妊娠への歩みを始めることができるのである。
サプリの二次的効果
現在の医学では、残念ながら卵子の質を上げる抜本的な治療や薬はまだ開発されていない。だが、いくつかのサプリメントで二次的効果として卵子の質向上が期待されており、不妊治療界で注目を集めている。それらをご紹介しよう。
一つは、長寿や若返り効果があると注目の次世代サプリ「NMN(Nicotinamide MonoNucleotide)」。人間はNMN(NAD)が減少することで老化減少が起こるのだが、そのNMNを補充することで体や臓器の若返り、健康維持などが促進される。現在も研究は続いているが、その効果は細胞レベルに達すると言われており、卵子の元となる卵母細胞の質が若返って受精しやすくなったり、受精後の細胞の発育助長など生殖能力が改善したとの報告が上がっている。
もう一つは、性ホルモンの一種「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」のサプリメント。女性の体内においては、妊活に重要な女性ホルモン、エストロゲンを作る材料となり、摂取することで、妊娠率の上昇や着床率の改善、そして卵子の質向上といった効果が期待される。
また、糖尿病薬として知られる「メトホルミン」が卵子の質改善にも効力があると見られているほか、女性ホルモンの分泌にも関わる「HGH(ヒト成長ホルモン)」を投与することで、卵子の成長を助長する効果なども取り沙汰されている。
個々に合った治療やサプリを
治療においては、自然治癒力を利用した再生医療PRP(多血小板血漿)が注目されており、PRPを直接卵巣に投与することで、卵巣機能を活性化させ、卵子数の増加、卵子の質向上などが期待される。ただ、全ての人にこれらのサプリや治療が適切であるわけではなく、年齢や身体の状態、不妊の原因、個人の意向などをもとに、ドクターが見立てた個別のアプローチの一貫として取り入れることが望ましい。
そして、妊活中の人、いつか妊娠・出産を望む人も日頃から葉酸やオメガ3脂肪酸、現代人に不足しがちなビタミンDを摂取するとよい。食事においては良質なタンパク質を摂り、極力添加物を避ける、また適度な運動で筋力を上げ血行促進を図るなど、自分自身の活力をアップすることで、妊娠しやすい身体へと向かっていくだろう。
(次回は12月第2週号掲載)
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