妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第7回
生まれながらの卵巣機能不全や早発閉経、卵巣がんによる卵巣摘出、高齢による卵子の老化などが原因で、自身の卵子を使っての妊娠が難しい場合がある。そのような問題を抱えつつも子供を望むカップルにとって、健康な卵子を提供してくれるエッグドナー(卵子提供者)の存在は夢を叶える大きな希望であり、まさに救世主なのである。
若い頃、私も幾度か「エッグドナー募集」の文字を目にしたが、自分の卵子を他人に提供し対価を受け取るということに違和感があり、人ごとと思い過ごしてきた。しかし、年を重ね、不妊で悩む多くの女性やカップルを目の当たりにする今、エッグドナーの重要さ、そしてエッグドナーに頼らざるをえないカップルたちの切実な想いを知り、人助けのチャンスを看過した自分を後悔した。
年齢規準と厳正なスクリーニング
エッグドナーになるためには、いくつかの条件がある。まずは年齢。クリニックによって多少前後するが、当クリニックはニューヨーク州の規準に基づき、妊娠に適した健康な卵子を提供できる可能性の高い21〜34歳までの女性を対象としている。そして、ドナーとしての適性を確認するため、質問票への回答や身体検査、超音波検査、血液検査、専門家による問診やメンタルヘルス評価などのスクリーニングを実施。具体的には、ドラッグテストのほか、HIV、B型およびC型肝炎、クラミジアなどの感染症検査や嚢胞性線維症の有無を問う遺伝子検査、ドナー本人の病歴や家族歴から染色体異常や遺伝的疾患が疑われる場合は、追加のスクリーニング検査を設ける場合もある。これら厳正なスクリーニングをクリアし、疾患や遺伝子異常がなく、身体的にも精神的にも健康な卵子を提供できる資格があると判断されると、いよいよエッグドナーとしてのステップへ進む。
採卵時の痛みはない
ドナーは体外受精(IVF)のプロセス同様、複数の卵胞(卵子)を発育させるため、採卵までの約2週間、排卵誘発剤を投与。卵子が成熟したことを確認後、ガイド付きの超音波針を使って卵巣から採卵される。採卵の際は麻酔を施すため痛みはなく、また誘発剤を投与している間や採卵後は数度の通院により体調や経過をチェックする。
たいていの場合は採卵後、卵子はドナーバンクにて冷凍保存され、卵子提供を受ける女性(レシピエント)を待つが、レシピエントが新鮮胚の移植を希望する場合、もしくはすでにレシピエントが決まっている場合は、お互いの生理サイクルなどを考慮してドネーションのプログラムがスタート。ドナーが排卵誘発剤を投与すると同時に、レシピエントもエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモン剤を投与し、受精卵を移植するのに適した子宮環境へと整える。
ドナーの労力や献身へ感謝
ドナーとなるにあたってリスクがないわけではない。生理痛に似た腹痛など、排卵誘発剤によって一時的な副作用が出る人もいるが、長期的なリスクやその後の生理、出産への影響はないと言われている。そして、ドナープログラムにかけた時間や労力、献身に感謝し、ドナーへは謝礼金などが支払われる。
昨年末、日本では第三者からの卵子提供を受けて妊娠・出産をした際、出産した女性を母親、精子提供に同意した夫を父親とする法案が新たに可決され、生殖補助医療に関する法的課題が大きく前進した。これにより、日本人の卵子提供を望むカップルも増えており、さらなるエッグドナーへの理解と助勢が必要となってくるだろう。
(次回は9月第2週号掲載)
エッグドナー募集
当クリニックでは、エッグドナーを募集しております。詳しくは、下記ウェブをご覧ください。
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Global Fertility and Genetics
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