代理出産の歴史(32)コロナ禍が引き起こしたロシア代理出産大問題(9)─ロシアは外国人代理出産依頼禁止へ─

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代理出産37

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第109回

全世界において代理出産は非常に難しくなってきているにもかかわらず、代理出産に関する正しい情報やニュースが限られてきています。代理出産が合法とされていた数少ない国の一つであるロシアについて、この数回お伝えしています。ロシアでは、2020年に勃発したコロナ禍により代理出産の事件や問題がクローズアップされ、ロシア政府が代理出産の取り締まりを開始し、議会にも代理出産禁止の法案が提出されましたが、このロシアの代理出産に関する情報も、ロシア国内では限られた範囲で報道されているものの、実際、依頼を最も行っている外国人がアクセスできる情報が発信されていないのが事実です。

医療コンサルタントである弊社に、お問い合わせ内容のトップの一つである代理出産に関して、正しい情報をお送りする必要性があることから、弊社のスタッフの一人であるモスクワ出身のロシア系米国人、イバジェニア・イリーナ情報アナリストにロシア語によるロシア国内情報を調査してもらいました。上記の21年6月にロシア下院に提出された外国人の代理出産禁止法案は、未だ法律としては成立していないものの、ロシア政府はこの法案を支持しており準備が進んでいる、というニュースが確認できています。ロシアでの新しい法律の成立のためには、モスクワで投票が行われますが、現在、当法案はロシアの政府のデータベースにファイルされていることも確認できました。そのデータベースによると代理出産はロシア国民には認められるが、外国人には不可、と明記されています。この法案は修正後、再度、下院に持ち込まれ、最終段階を待っています。当法律が成立するのは時間の問題、と考えられています。

ロシア国内のニュースによると、この代理出産に対する外国人依頼の禁止が近い状況を鑑みて、ロシアの生殖医療クリニックは外国人の代理出産依頼を断り始めている、ということです。

ロシアでの代理出産を考えていたロシア人以外の外国人依頼者は、より慎重に依頼を再検討する必要があります。これで、代理出産依頼が可能である国の選択肢は更に狭まってきたことになります。

(次回は1月8日号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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