代理出産の歴史(46)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(7)〜日本で話題の韓国での卵子提供、韓国政府は21年12月30日に禁止条項施行(1)

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代理出産51

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第123回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史、そして、現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。パンデミック勃発後、2022年12月に3年ぶりの日本講演時にて、韓国での代理出産、卵子提供の法的制限について質問を受けたため、第三者介入の生殖医療に制限、そして罰則が法的に課されている韓国の法律について説明をしています。

韓国では卵子提供も精子提供も、違法であり罰則があることを説明してきていますが、このことは韓国の法律「生命倫理及び安全に関する法律(略称:生命倫理法)」によって最も直近の改訂により制限が加わり、韓国の政府行政機関である保健福祉部から20年12月29日に一部改正、1年後の21年12月30日に施行され、明確に規制されるようになってます。この生命倫理法は以前から存在し、14年、17年と改訂がなされています。以前の当法律を読んでいると、もともと遺伝子などの研究を焦点にあてた内容であり、卵子提供などの要項は含んでいませんでした。昨今の世界、及び、韓国の社会環境を反映して、新しい規則が組み込まれたと考えます。

前回のリポート=1月7日号掲載=でお伝えしたように、12月の来日時に「“日本にて、韓国からの卵子提供、代理出産が可能である”という斡旋勧誘が話題になっている。禁止されているはずなので、真偽を確認してほしい」という要望があったため、弊社で現在、調査を進めていますが、ソウルに位置する大手、MizMedi Women’s Hospital(295 Gangseo-ro, Gangseo-gu, Seoul, South Korea)では、この法律に則り徹底的に運営がなされており、例えば、生命倫理法の第25条(胚の保存及び廃棄)、第一項に記されている、胚の保存期間は5年とする、とある条項に従って、作成されてから5年が経過している受精卵は破棄されていることが確認されました。この条項は17年時の改定前の生命倫理法には存在しない規定です。

日本で勧誘が不法に行われている、という事実と、多くの事実関係の質問が日本の患者様から届いていることから、更に、詳しい内容を次回に継続してお伝えしていきます。

(次回は3月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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