代理出産の歴史(47)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(8)〜日本で話題の韓国での卵子提供、日本人患者を違法に誘導する残念な状況の警告(1)

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代理出産52

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第124回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史を4年に亘り連載、そして、現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。パンデミックにより見合わせていた年2回の日本講演を去年末、2022年12月に開始した際に、海外の生殖医療状況についてご興味のある複数の参加者の方から、日本で話題になっている韓国での代理出産と卵子提供の斡旋勧誘の合法性について質問をいただき、第三者介入の生殖医療に制限があり罰則も法的に課されている韓国について調査、説明を行っています。

韓国政府から情報を確認したうえで、韓国の大手医療機関にも聞き込みを行い、正確な情報をお伝えするように努力していましたが、ここで、非常に残念な状況が発覚しました。

22年の12月の時点で、韓国では違法である卵子提供などの治療を日本語で日本人対象に廉価で勧誘し話題になっていた韓国の不妊治療クリニックのホームページが今年に入って韓国では違法の卵子提供などのサービスが完全に削除され、改訂されています。通常の生殖医療である不妊治療に絞られた記述のみに変更されました。筆者は、21年12月30日から、韓国の他の大手クリニックでは、韓国の政府行政機関である保健福祉部からの生命倫理、及び、安全に関する法律(略称:生命倫理法)の同日に施行された禁止条項を遵守開始していることも確認していました。

この韓国の違法サービスの勧誘ホームページが改訂になった背景には、日本人患者が違法性を知らずに、廉価な費用の側面から話題になった反面、ソーシャルメディア等で多くの疑問や批判が表面化したことが挙げられています。また、韓国での代理出産プログラムを名目に料金を支払い、数年も実行されないのに資金が戻ってこない、と、斡旋会社とトラブルが発生している日本人のために、筆者も調査を開始しており、22年12月の当リポートで韓国での違法プログラムについて書き始めていたところでした。この状況を分析すると、残念ながら、異なる言語と土地(国)を利用して、違法であることを把握しながら日本人患者を斡旋する確信犯であることがわかります。

(次回は4月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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