〈コラム〉雇用維持と採用促進策(序文)

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人手不足(1)

「HR人事マネジメント Q&A」第13回
HRMパートナーズ社 社長 上田 宗朗

これまで地球上の限定された地域で大なり小なり類似の事象はあったものの2020年春を基点に起きたコロナ禍はかつて世界が経験したことのない未曽有の被害を全人類にもたらしました。しかも後進国や発展途上国ばかりではなく先進国の人々にも等しく同時に影響を及ぼしたことが今回の特異な点でした。

急ぎワクチンが開発され、優先的に確保できた資金力のある国々と後回しになった資金力の乏しい国々との間に不平等さはありましたが、それを解消するべくWHOをはじめとする世界中の各種機関が公平な配分に努めました。そして、ただいま新型コロナウイルス感染症の治療薬のさらなる開発が急がれています。

このように世界が一変…先進国の人々にも等しく影響を及ぼした…中、多くの人々は生活スタイルとりわけ「生きていく糧」を得る為の勤労すなわち働き方を根本から変えざるを得なくなったわけです。

第1次産業に従事する人達は先進国後進国に関わらず地方で密集せずに働く為それほどの影響を被らずに済んだところもありますが、対する都市部は人が密集し易いため、第2次・第3次産業に従事する人々に与えた影響は殊の外大きく、また、たとえ産業形態や業種によらずとも子供達が通学しているならばそれがリモート授業に切り替わったことで大半の親達も通勤すること自体が困難になりました。

以上のような背景により、前回=4月23日号掲載=までのおよそ1年間はコロナ禍により働き方ががらりと変わった或いは変えざるを得なかったことから、「ワーク・スケジュールについて」および「ワークスタイルについて」と題し、今や当たり前となった感すらある従業員のリモートワークに絡み、主に雇用主側に向けて種々の注意事項をお伝えしてきました。

とまれ喫緊の問題は多くの企業で起きている人手不足です。せっかくコロナ禍で一変した生活が漸く落ち着きを取り戻してきた今日にあって但し経済循環が依然として滞り、それにロシアのウクライナ軍事侵攻に端を発した東西対立再燃が加わり、物価高騰も収まる兆しすらなく既存の世界ではなくなってしまっていく中、より高い給与を得るべく転職を試みる者、復学する者、新たな技術の習得に努める者、キャリア自体を変更しようとする者、または家族の介護に集中しようとする者、労働から離れる者など、様々な行動が見られます。

次回以降は、労働者を如何に維持確保するかについて、企業の間で試みられている幾つかのアイデアを順々に紹介していく予定です。

(次回は6月25日号掲載)

上田 宗朗

〈執筆者プロフィル〉うえだ・むねろう 富山県出身で拓殖大学政経学部卒。1988年に渡米後、すぐに人事業界に身を置き、99年初めより同社に在籍。これまで、米国ならびに日本の各地の商工会等で講演やセミナーを数多く行いつつ、米国中の日系企業に対しても人事・労務に絡んだ各種トレーニングの講師を務める。また各地の日系媒体にも記事を多く執筆する米国人事労務管理のエキスパート。

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