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501(c)(3)団体に基づく慈善目的で形成されたNFPO(非営利団体)は、通常、助成金や寄付金、あるいはプログラムや資金集めの活動から資金を得るが、資金源を増やすために、不動産を所有するNFPOは、第三者と契約し、不動産の賃貸、あるいは、十分に活用されていない不動産の一部を賃貸するといった新たな手段を検討することもあるだろう。
しかし、そのような取り決めを第三者の営利団体とかわす前に、NFPOは以下の項目について慎重に検討する必要がある。まず、(1)そのような取り決めが非営利団体501(c)(3)認定と免税資格に及ぼす影響。そして、(2)非関連事業収入(UBI)に伴う所得税(UBIT)への責任の可能性、(3)非関連団体による不動産の使用で固定資産税免除の権利を喪失する可能性、(4)第三者による不動産の使用をNFPOの保険が補償するかどうか、(5)第三者が施設を使用する場合の最低保険加入条件。
一般的に、包括的な非課税の目的や活動ではなく、NFPOとは実質上無関係な継続的活動によって発生した資金は、UBIとみなされ、課税対象となる。つまり、不動産賃貸は、通常NFPOの包括的な目的とは実質的に非関連の商業活動であり、例外的なケースの一例とみなされない限り、UBITの対象となる。ほとんど全ての税制や法的規約には例外や特殊なケースが存在するように、NFPOのUBI規約の適否もまた、各ケースの個別の事例や状況に左右される。但し、一般的にIRS(米国内国歳入庁)の規定では、NFPOの賃貸収入は、通常「受動的収入」に該当し、UBIとはみなされない。賃貸に関連してサービスや設備が提供されておらず、また賃料がテナントの使用による純利益に基づかず、かつ不動産が借入金によって得られたものでなければ、UBITの課税対象とはならない。しかし、過度な賃貸によるUBIは、NFPOの慈善目的を損なうことになり、非課税ステータスの権利が危険に晒されることとなる。また、賃貸スペース(他の非課税活動と相まって)が、NFPOの活動全体の主要な部分となっている場合は、501(c)(3)ステータスが危うくなる可能性がある。
さらに、第三者が商業活動目的として占有する不動産部分に対して、固定資産税免除を受けられない可能性があるという懸念事項もある。通常、不動産の所有権に基づき、特定の免税目的や活動でNFPOによって使用されている場合に固定資産税の免除を受けることができるが、商業目的で第三者がその不動産の一部を使用することは、NFPOの固定資産税の免除、あるいその一部が取り消される可能性がある。
このような理由から、NFPOが自らの不動産を営利目的の第三者に貸与することを考えている場合、非営利団体の分野に精通した税理士や弁護士に相談することが望ましい。
(弁護士 マリアン・ディクソン)
(次回は7月第1週号掲載)
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