〈コラム〉ウェブサイトのアクセスと利用に関する訴訟問題

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専門家に相談したり、ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインを参照して

もし貴方が商品販売やサービスの提供のためのウェブサイトを運営管理している場合、現在そのサイトが障害者による利用が可能かどうか、又はどの程度まで利用可能であるかを見直す必要があるかもしれません。もしサイトが障害者のアクセスと利用を可能にするよう、スクリーン・リーダーのような多様なテクノロジーを使用して適切にコード化されていない場合、アメリカ障害者差別禁止法の第III編(Americans with Disabilities Act, Title III ─“ADA”)に基づく連邦差別訴訟を起こされたり、障害者のための配慮に関する連邦又は州法等に基づいて告訴される可能性があります。

ADAは障害者を保護するために制定された初めての包括的な法律です。
ADAの第III編は、障害者のための合理的配慮を必要とすることに基づいた差別を公共施設からなくすための規定です。ADAの規定はホテル、レストラン、劇場、体育館等の施設で適用されます。ADAはウェブサイトの使用が一般的になる前に制定されたため、ADAにはこれに関する特定の規定はありません。しかしながら、ADAの第III編に基づく障害者の保護の観点から、障害者がサイトの完全利用とアクセスができるよう、近年サイトの所有者に合理的配慮の提供を求める訴訟が多く起こされています。ADAの第III編には特定のガイドラインが定められていないため、法廷の判決はケースバイケースとなっています。このことが、どのサイトが第III編の対象となるのか混乱と不確実性を招き、ADAの保護の対象となるサイトが実際にどのような要件を満たさなければならないのかに関して、矛盾する判決を生んでいます。例えば、ある裁判所が物理的に存在するお店で物の販売又はサービスの提供をするサイトに限ってADA第III編を適用したのに対し、別の裁判所は公共施設が提供する商品やサービスに関する全てのサイトに適用されるとの見解を示しています。

ADAに基づく、サイト利用に関する不当差別の訴訟は、障害者のアクセスや利用を可能にするテクノロジーのスクリーンリーダー等に頼っている視覚障害のある顧客によって起こされるケースが殆どです。スクリーンリーダーが使えないサイトでは、障害者は健常者と同じようにサイトを最大利用することはできません。サイト利用の分野に関する法律はまだ進化途中ですが、ウェブアクセシビリティ・コンサルタントに相談したり、既存のサイトを障害者が利用できるようにするには何を変える必要があるのか、業界スタンダードと見なされているウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(Web Content Accessibility Guidelines、略称“WCAG”)を参照して対応することをお勧めします。

(弁護士 マリアン・ディクソン)
(次回は11月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉
Miki Dixon & Presseau 法律事務所
122 East 42nd Street, Suite 2515 NY, NY 10168
Tel:212-661-1010
Web:www.mdp-law.com

(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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