古い家を購入時にはオイルタンクが敷地内に設置されていたかどうか、地元の書記事務所で記録を調べることが重要
多額のお金で家を購入し、入居するばかりになった時点で、予期せず修理に何千ドル、何万ドルもかかる不具合を発見するのは避けたいものです。NYの郊外で住居用不動産を購入するときは、インスペクターを雇って不動産の状態の報告書を作成してもらうことが大切です。報告書は不動産に問題がないかどうかを保証するものではありませんが、訓練された専門家は、多くの問題を短時間で的確に指摘することができます。
近年、環境問題に対する危惧がますます高まっているため、郊外に家を購入する時には、不動産の地下にオイルタンクがあるかどうかを調べることが重要になっています。75年から100年前に建てられた家の多くは、オイル炉で温められていました。オイルは金属製タンクに貯蔵され、タンクはしばしば建物の近くの地下に埋められていました。歳月と共に暖房技術が向上し、天然ガスの価格が下がると、多くの家はオイルから天然ガス暖房へと切り替わりました。暖房方法の切り替えの際、不要となったオイルタンクが掘り出され撤去されることは殆どありませんでした。その代わり、タンクからはオイルが抜かれ、ときには砂が詰められて封印されました。残念ながら、これが何十年も経つと、オイルタンクが錆びて朽ちたり、蓋の不具合によってタンク内に水が溜まったりしてしまいます。これは残油が周りの土に浸み込む原因となりました。
もしこのような状況が発見された場合、地方政府は家の所有者にタンクを掘り出し、周りの汚染された土を撤去することを求めます。この作業には何万ドルもの費用が掛かることがあります。
従って、古い家を購入する時は、オイルタンクが敷地内に設置されていたかどうか、地元の書記事務所で記録を調べることが重要です。多くの場合、記録にはタンクが封印された、又は掘り出されて撤去されたかが記載されています。しかしながら、しばしば1980年以前の記録は無いことがあります。その場合、エンジニアを雇って敷地内の地下にオイルタンクがないかどうかを調べてもらう必要があります。このような検査には約500ドルの費用が掛かります。
不動産のインスペクションに追加の費用が掛かってしまいますが、家の購入後にオイルタンクを撤去しなければならないと初めて知るのに比べれば、対価として心の平穏を得られるので安いと言えるでしょう。
(弁護士 マシュー・プレソー)
(次回は12月第1週号掲載)
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