ラドン濃度を下げる調整が出来るならば、物件価格の値引きか、濃度を下げるための必要工事を売主が負担する交渉を
家を購入する際には、多額の費用のかかる修理等を避けるため、クロージングの前にインスペクターによる検査を行うことが大切です。前回=11月7日号掲載=のコラムではオイルタンクの問題についてお話ししました。今回は懸念条件の一つである、ラドンについて述べます。
ラドンは自然発生する放射性ガスで、肺がんの原因になることがあります。ラドンは不活性・無色・無臭で、元々大気中に微量が存在しています。ラドンは屋外では急激に消散するため、健康への害はありません。ほとんどのラドンの体内への吸入は、住宅、学校、職場等の建物内で発生します。ラドンが建物の基礎のひび割れや穴等から建物内に入ると、屋内に閉じ込められる形となります。
家を購入する時は、ラドンの濃度を検査することが賢明です。ホーム・インスペクターは、これらの検査の手配をすることができます。ラドンは、空気1リットル当たりのピコキュリー(pCi/L)の数値をもって測定されます。もしラドンの測定濃度が4pCi/L以上である場合、その家のラドンのレベルを下げる対策を打たねばなりません。
ラドンの濃度が2~4pCi/Lの間である場合は、対策を取るかどうかは自己裁量となりますが、検討した方が良いでしょう。ラドンの濃度が2pCi/L以下の場合は、それ以上レベルを下げることは非常に困難です。平均的なラドンの濃度は、屋内では1.3pCi/L、屋外では0.4pCi/Lです。建物の基礎のひび割れを塞いだり通気口を作ったりすることで、家の中のラドンの濃度レベルを下げることができます。
もしあなたが買おうとしている家のラドンの濃度が2.0pCi/Lを超えていて、濃度を下げる調整が出来るならば、物件価格の値引きか、ラドンの濃度を下げるための必要工事を売主が負担する交渉をすることをお勧め致します。
(弁護士 マシュー・プレソー)
(次回は1月9日号掲載)
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