ニューヨーク市におけるアパートの購入:コンドミニアムとコープの違い

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購入者が何を求めているかでどちらがより有益であるかが分かれる

ニューヨーク市でアパートの購入をする場合、コンドミニアムとコープ(Co-op)という2種類のオプションがあります。これらのオプションは、それぞれに利点と欠点があるため、購入者が何を求めているかによって、どちらのオプションがより有益であるかが分かれます。

コンドミニアムは、集合住宅建物に入っている各分譲アパートが独立した法定財産になっているタイプです。つまり、各アパートに不動産所有権があることになります。コンドミニアムを購入した場合、アパートそのものを所有することになります。また、コンドミニアム建物では、共用部分のパーセンテージも所有することになります。不動産を直接所有するため、不動産税は直接ニューヨーク市に納付します。更に、建物を維持する費用として、共益費を支払う必要があります。共益費には、ドアマンや管理人の人件費、電気及び配管システムの維持費、共用部分の清掃費、ロビーや集会室の光熱費等が含まれます。一般的に、コンドミニアムの利点は、所有者がアパートの改築をする際の制約が少ないことです。コンドミニアムの売買は一般的に容易であり、多くのコンドミニアムには所有者が賃貸に出すことへの制約がありません。

一方、コープの所有はコンドミニアムとは形態が全く異なります。コープでは、建物全体を管理組合(corporation)が所有しています。コープを購入する場合、権利書の譲渡はありません。その代わり、建物を所有する管理組合の株式を購入することになります。また、アパートを独占的に使用することのできる特別なリースを受けることになります。不動産を直接は所有しないため、ニューヨーク市に不動産税を直接納付することはありません。その代わり、建物の維持するための費用と建物全体の不動産税をカバーするため、管理費を支払うことになります。コープの管理費がコンドミニアムの共益費に比べて高いのは、このためです。コープを購入するには、コープ役員会の承認を得なければならないため、コンドミニアムの購入より難しくなる場合があります。役員会の承認を得るための申込書には、多くの場合、管理費の支払いやアパートの維持が出来る財力の証明が求められます。また、コープはアパートを賃貸に出すことを制限する傾向があります。その理由は、コープに賃貸アパートが増えすぎた場合、建物全体の信用力が落ちるというネガティブな影響を受ける可能性があるからです。一旦、建物の信用力が落ちると、建物内の居住者が銀行から住宅ローンを受けるのが難しくなります。一方、コープのアパートに居住し賃貸に出さない場合、税制上の利点がある場合があります。

コンドミニアムとコープが持つ特定の問題については、次回のコラムで述べたいと思います。

(弁護士 マシュー・プレソー)

(次回は12月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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