アパートの賃貸契約

0

契約書にサインする時点で内容を理解し、必要な条件については交渉してからサインを

ニューヨークで生活する者の多くが一度はアパートの賃貸契約書(リース契約書)にサインさせられているでしょうが、それをどこまで詳しく読んで理解しているでしょうか。テナントとして理解しておきたいことをいくつか述べてみます。

リース契約書に賃貸期限が明記されますが、これは特別な条項がないかぎり、むやみに変更はできません。テナントには契約した期限最終日までは家賃を支払う責任があり、たとえば駐在員が会社の事情によって急遽日本に帰らなくてはならなくなっても途中解約は出来ません。そのような心配があるときは、契約の段階で、一定の条件のもとで途中解約が出来るという特別な条項を交渉して書き加えておかねばなりません。途中解約が必要になってから、家主と話し合ってお互いに一定条件で合意できるなら、両者納得の上で契約内容を変える、あるいはキャンセルするということも可能ですが、この場合はかなり不利な条件を飲まざるを得なくなるでしょう。

不要になったアパートのリース期間がまだ1年とか残っている場合、他人にサブリースするという方法はありますが、それにはまずリース契約書上でそれに制限がないか、あるいは条件が付いていないかなどを確認する必要があります。サブリースが許されている場合でも、自分が家主に支払うレントよりもサブテナントから受け取るレントの方が高かった場合には、その超過分は家主に払わねばならないと決められていることもあります。そのアパートでサイドビジネスをしてはならないという主旨です。逆に、サブテナントから受け取るレントが自分が家主に支払うレントよりも少ない場合、その差額は自分の負担となります。また、サブテナントが起こした問題の責任も一緒に負うことになりがちですから注意が必要です。

このように、契約書にどう規定されるかは重要なので、契約書にサインする時点できちんと内容を理解し、必要な条件については交渉をしてからサインしなければなりません。家主から出された条件をすべてそのまま受け入れることはありません。アパートの種類や家主のタイプにもよりますが、一般にリーズナブルな要求であれば家主の同意を得られることも多いものです。どのような要求がリーズナブルで常識的とみなされるか判断できないとき、そして交渉が難しい要求を何とか貫きたいときは、そのような交渉に慣れた経験の深い不動産ブローカーや弁護士に相談するのがいいでしょう。

(Miki Dixon & Presseau法律事務所 弁護士 三木克己)

(次回は3月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉

Miki Dixon & Presseau 法律事務所
405 Lexington Ave, 8th Fl. NY, NY 10174
Tel:212-661-1010
Web:www.mdp-law.com

(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

●過去のコラム●

Share.