小規模企業のビジネスパートナーが突然死亡した場合について

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ビジネスパートナーの死に対処するためには、予めプランを用意しておくのが一番

多くの小規模企業では少人数が事業を所有・運営し、会社の業務に日々積極的に取り組んでいます。彼らは利益分配から収入を得る場合もありますし、会社従業員として給料等の形で報酬を受け取る場合もあります。ビジネスパートナー(共同経営者)が予期せず亡くなってしまったときはどうなるのでしょうか。事業の所有者が適切な計画を立てていない場合、悲惨な結果になる可能性があります。

最近我々の事務所では、50代のビジネスパートナーを突然亡くした弁護士がクライアントとなりました。亡くなったパートナーは有限責任会社(Limited Liability Company、略称LLC)の60%を所有していました。ビジネスパートナーの存命中、彼らは友人同士で、友好的に法律事務所の経営を進めていました。彼らは互いの突然の死に対処する計画について話し合ってはいたのですが、残念ながら忙しすぎて、この計画を書面の合意書にまとめるまで至りませんでした。このクライアントはパートナーの死後すぐ、法律事務所の所有権を巡って、パートナーの妻との紛争に巻き込まれました。その結果、ビジネスに深刻な混乱が生じ、このクライアントが10年間以上かけて築きあげてきたもの全てが破壊される恐れがありました。しかし、パートナー同士が互いの死亡時のプランを書面による合意にまとめてさえいれば、前述の混乱は避けることができたはずです。我々のクライアントにとって幸いなことに、パートナーの妻は弁護士ではないので法律事務所のメンバーになることができず、彼は亡くなったパートナーの所有権の買取価格を巡る訴訟の間も、ビジネスを続けることができました。しかしながら、これがもし法律事務所ではなく、普通の有限責任会社だったならば、パートナーの妻は会社を乗っ取って、事実上我々のクライアントのビジネスを奪うことができたでしょう。

有限責任会社の所有者の1人が亡くなり、パートナーの死亡時に対応するための合意書がない場合は、有限責任会社法(Limited Liability Company Law)と事業会社法(Business Corporation Law)に手続きが示されています。プロフェショナル有限責任会社(Professional Limited Liability Company or Corporation、略称PLLC)は、少し規則が異なります。(プロフェッショナルビジネスは、弁護士や医師等、免許を必要とする人員で構成されています。)これらの法律は、一般的に過半数のシェアを持つオーナーに有益になっており、少数のシェアを持つオーナーには非常に不公平な内容になっています。本質的に、亡くなった所有者の相続人は、亡くなった所有者の代わりに介入することができます。亡くなった所有者が事業の支配権を持っていた場合、相続人は事業を支配することができ、少数シェアのオーナーにはほとんど保護がありません。例えば、もし存命の少数シェアの所有者が、会社の給料を受けとる従業員でもある場合、相続人は会社の支配権を行使して、その従業員を解雇することができます。少数シェアの所有者は、少数の所有権を保持することはできますが、給料を失うことになります。

ビジネスパートナーの死に対処するためには、予めプランを用意しておくのが一番です。最も簡単な方法は、事業を設立したときにプランを作ることですが、後で作成することもできます。いかなる場合でも、最善の方法はビジネスパートナーの死に関するプランを立てておき、亡くなったパートナーの家族との紛争によって中断されることなく、生存パートナーが事業を続けていけるようにしておくことです。

事業運営プランの詳細や方法は複雑ですので、ビジネスパートナー達は弁護士と相談して、それぞれのニーズと期待に最も適したプランを立てるのが良いでしょう。

(弁護士 マシュー・プレソー)

(次回は12月2日号掲載)

〈今週の執筆事務所〉

Miki Dixon & Presseau 法律事務所
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Tel:212-661-1010
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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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