手続きをしないと懲戒処分受ける可能性も
ニューヨーク州酒類管理局(New York State Liquor Authority – NYSLA)からのリッカーライセンス(酒類販売免許) をもってレストランやそれに類似する事業を営む者は、 廃業や事業の売却などによって営業を永久的に停止する場合、 まだ有効期限が切れていないリッカーライセンスを、 必要手順を踏んで正式に返納する必要があります。 単純に事業を閉めて、 リッカーライセンスを有効なまま経過させたり、 時間に任せて失効させることはできません。 事業の停止や事業の売却の際、ライセンシー( 酒類販売免許保持者) が正式なリッカーライセンスの返納を怠ると、 NYSLAから懲戒処分を受ける可能性があります。
リッカーライセンスの返納を行う場合、 ライセンシーはNYSLAに請願書を提出する必要があります。 請願書は、 リッカーライセンスの裏面に印刷されていることもありますが、 返納用の請願用紙をNYSLAから取り寄せて提出することもでき ます。請願書を提出し、 NYSLAがリッカーライセンス返納を承認すると、 返納が正式に有効であると見なされます。
ライセンシーに対する懲戒処分が未解決であったり、 ライセンシーが返納の請願書を提出して30日以内に何らかの懲戒 処分が出された場合、 懲戒処分が解決するまでリッカーライセンスの返納は承認されませ ん。
NYSLAに返納が承認されると、 ライセンシーはリッカーライセンスの未使用期間分の申請料の払い 戻しを、日割り計算で受けることができます。しかし、 払戻金はライセンシーとして指名されている者以外の個人や企業に 対しては支払われません。さらに、もし懲戒処分が出ており、 ライセンシーに罰金が科せられる場合、 NYSLAは払戻金を没収することもあります。
一旦返納請願書がNYSLAに承認されると、 ライセンシーが将来営業を再開したいときは、 新規にリッカーライセンスの申請をしなければなりません。
営業停止が一時的なものである場合は、 違うルールが適用されます。例えば、 営業停止期間が2週間未満の場合は、 ライセンシーは何もする必要はありません。しかし、 営業停止期間が2週間以上になる場合は、 たとえ短期の一時的な停止であっても、 リッカーライセンスをNYSLAの保護預かりにしなければなりま せん。リッカーライセンスは、 リッカーライセンスに記載された場所で営業が再開されたときのみ 、保護預かりから出すことができます。もしライセンシーが、 リッカーライセンスに記載されていない別の場所で事業を再開した い場合は、 NYSLAにライセンスを新しい場所に移すための申請をする必要 があります。
正当な理由によってNYSLAが延長を認める場合を除き( 延長願いは、 保護預かり期間が5カ月経過する前に申請する必要があります)、 リッカーライセンスを保護預かりにできるのは最高6カ月までです 。保護預かり期間の延長願いを出さなかったり、 延長許可が出なかった場合、6カ月が経過した時点で、 ライセンシーはリッカーライセンスを保護預かりから出し、 所定の場所で営業を再開しなければなりません。 営業再開できない場合は、 リッカーライセンスをNYSLAに返納する必要があります。 この一連の手続きを怠ると、 ライセンシーに対する懲戒処分が出されます。
最後に、 もし保護預かり期間中にリッカーライセンスが失効する場合、 ライセンシーは保護預かり期間中にリッカーライセンス更新手続き をする必要があります。
(弁護士 マリアン・ディクソン)
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