〈コラム〉中小企業救済プログラムPPPローン返済免除規定緩和

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永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第100回

前回、中小企業救済プログラムであるPPPローンを紹介させて頂きましたが、受領した借入金を銀行への入金日から8週間の期間(Covered Period)に、給与コスト、地代レント、不動産ローン利息返済、水道光熱費、不動産ローン利息額などSBAが定めた費用に使用すると返済が免除されるという特典があります。

ただし、返済免除を受ける金額の内訳は、給与コストが75%以上になる必要があり、逆にいうと給与コスト以外の費用については25%を超えてはいけません。

レストラン業などでは、今の経済状況ではいつ平常通りの経営ができるか不明で、返済免除を取るには難しいところがありました。

PPPローン返済免除規定を緩和するために様々な業界が動いていたようですが、5月28日、民主党がコントロールするHouse of Representativeにおいて、Paycheck Protection Program Flexible Actが承認され、このコラムを書いている6月3日に共和党がコントロールするSenateで審議され通過することになりました。

後はトランプ大統領の署名を待つのみとなります。正式決定ではありませんが、現状でわかっているFlexible Actのポイントについて説明しようと思います。

PPPローン返済免除規定のCovered Periodについては、借入金を受け取った日から56日間(8週間)と規定されていますが、少し緩和されてAlternative Payroll Covered Periodを選択することにより、ローン入金日から最初のPay Periodの開始日をCovered Periodの開始日とすることが認められました。

しかし、今回のFlexible Actにおいては、返済免除対象期間が、8週間から24週間に大幅に延長されます。すでにPPPローンを受けている企業は8週間をそのままキープすることもできますが、基本的には、ローン支払いを受けてから24週間もしくは2020年12月31日のどちらかの早い方が対象期限となります。

また、返済免除を受ける金額の使用内訳は、給与コストが75%以上になる必要があるということでしたが、給与コストが60%以上ということに変更なります。つまり40%まで給与コスト以外の費用に使用しても返済免除の対象とできます。

他にもFTE reductionや Salary / Wage reductionという新型コロナウイルスの影響前とCovered Periodの従業員数・給与額を比較する返済免除減額の規定がありますが、そのReductionを回避できるための従業員数・給与額の回復基準日について、2020年6月30日までに回復させればよいというオプションがありました。

こちらも2020年12月31日まで期限を延期できることになります。返済免除できなかった部分については年利1%で2年タームのローンとなるのですが、5年タームに延長されることになります。PPPローンの返済免除規定については専門家の間でも’Moving Target’と呼ばれ、指針が動くので、日々のアップデートが必要になります。今後の動きにも注意が必要です。

(次回は7月第2週号掲載)

〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

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