Nagano Morita a Division of Prager Metis 日下武「ビジネスのツボ」 第111回
コロナ禍の中で外出自粛が続き、コロナ前よりも単調な日常を過ごしている人も多いかもしれません。第４次感染拡大などと騒がれ、なかなか明るい話題がありません。ビジネスも低調の傾向のところが多いです。
ただこういった中でも新しいビジネスを考案して、収入を上げている方たちもいます。
私の周りにも何人かいるのですが、共通点は怖いもの知らずという点です。アイデアが思いついたらすぐに行動に移しています。最初はうまくいかないことも多いですが、修正を繰り返すごとにだんだん良い形になっています。例えば、高級レストランがリーズナブルなお弁当を開発して配達ビジネスに力を入れたりして売り上げを上げています。
既存の業態やブランディングに固執せず、勢いで動いている経営者の方が多くの成果を出している印象を受けます。
私は考えすぎるところがあるので、勢いのある行動をとる方たちは羨ましく思います。以前、会計士になったばかりの頃に市場を広げるためにどのように他州にアプローチするかを考えました。日本語の通じる会計士ということが強みなので、まず他州にある日本のコミュニティーにアプローチを考えました。日本のコミュニティーということで日本人会もしくは日本総領事館などが頭には浮かんだものの日本人会会長や総領事に直接メールしたら、失礼なのでは？ 多忙だろうし、機嫌を損ねてしまったらどうしよう？ などと連絡することにかなり躊躇したことを覚えています。ただ、思い切って日本人会会長にメールをしたところ、なんとすぐにミーティングを開くことになりました。「日本語の通じる会計士事務所があまりないので、企業からどこか紹介してほしいと言われていたところなんですよ」と逆に感謝をされ、夕食に誘われ話が盛り上がり、「そういえば新しい総領事が赴任されたので今度一緒に挨拶に行きませんか」と誘われました。このようなことがあるんだなと感心したことを覚えています。
一つ目の扉を思い切って開けたことで、自然と二つ目の扉も開いてしまいました。今では、その日本人会の税務も担当させて頂き、そして、その地域のいろいろな人とのつながりもできました。
禅の世界では「禅即実践」という言葉があり、まず動きなさいという教えは昔からあるようです。アイデアを考え、リスクを想定することもある程度は大切ですが、考えすぎずに思い切って動いてみることも大切かもしれません。皆さんの成功をお祈りいたします。
（次回は６月第２週号掲載）
〈プロフィル〉 日下 武（くさか たけし） Prager Metis CPAs Boston/NJ マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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