Nagano Morita a Division of Prager Metis 日下武「ビジネスのツボ」 第114回
私が以前、日系食品ディストリビューターの営業職であったということもあり、会計士になった後も、飲食関係の経営者さんたちとのつながりが強いです。
ニューヨークのレストランはインドアの使用席数の規制も解除されて100%オープンしていますが、コロナ前のようにお客さんが戻っていないお店がある一方で、コロナ前以上に繁盛しているお店もあります。
私の個人的な意見ですが、7月の状況を見た場合、客単価100ドル以上の高級店の調子が良いような印象を受けます。実際に高級日本食レストランで働くマネジャーさんの話では、売上はコロナ前の水準に戻っていると聞きました。
レストランが長くクローズされていたこともあり、久しぶりの外食ということで、いつもより少し高めのレストランを選択しているように感じるということです。日本ではリベンジ消費ともいうようです。家族よりは、少人数パーティーやカップルなどが多く、メニューの中からも高額なものを選択する傾向が強いということで、日本酒も1本100ドル以上する銘柄がよく出るらしいです。
コロナ前はアジア系の富裕層の留学生が多かったようですが、最近は白人系やアジア人系の20代後半から30代の若い社会人風の客層が増えてきているということです。
午後5時オープンの早い時間帯から席が埋まるようですが、仕事着ではなく、お洒落な格好をしているということで、家から食事のために集まっている可能性が高く、オフィスはオープンしているところは少ないのかもしれません。
先日、マンハッタンでオフィスにケータリングサービスをしている社長に話を聞いたところ、まだまだオフィスには人は戻っていないと聞きました。ランチ・ケータリングの売上はかなり落ちていて、戻る気配も感じないということです。そこで、家に直接配達をするミールキット事業を開始したようですが、そちらはかなり調子が良さそうです。旦那さんや子供さんたちの在宅時間が長くなり、食事のメニューに悩んでいたママたちから、たくさんのお礼のメールがくるらしく、社長さんはやる気満々になっていました。
私の所属する会計士事務所は9月末にオフィス勤務を再開する予定ですが、今までのように毎日ではなく、自宅勤務とオフィス勤務のハイブリッドという形を取るようです。人々の生活スタイルの変化により、あらゆる業種も変化に対応していかなければ生き残れなくなってきています。反対にいうとそこに新しいビジネスが生まれ、成功するチャンスかもしれません。
(次回は9月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) Prager Metis CPAs Boston/NJ マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
【ウェブ】pragermetis.jp Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@pragermetis.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ