「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第63回
皆さん、早くも4月も2週目に入りました。タックスリターンは済ませたでしょうか?
アメリカでは会社員でも個人確定申告を自分で申告しなけばいけないため、日本から駐在で来た方たちは初年度は特に混乱するようです。アメリカ滞在の長い方も1年に1回のタックスリターンについては、あまり知識のない方も多いのではないでしょうか。近くの会計士事務所や税理士事務所に依頼するのはいいのですが、ある程度の知識があればタックスリターンに備えて節税の準備ができるかもしれません。
年が明けると会社員の方たちはW─2フォームというものを受け取ります。これは給与明細の年間のまとめのようなもので、貰った給与の金額や源泉徴収された税金の金額などが記載されています。その中にSocial Security TaxとMedicare Taxというのが記載されているのですが、これはいったいなんでしょうか。
この税金は、アメリカのSocial Security Systemのために支払いをする税金で、これらの恩恵を受けるための条件を満たした方へのRetirement BenefitやMedical Insurance(Medicare)Benefitのために使われます。
Retirement Benefitは日本でいう公的年金、Medical Insurance(Medicare)Benefitは65歳以上の高齢者、または障害者のための医療保険です。Social Security Taxの税率は、雇用主、被雇用者それぞれ6.2%が課せられます。簡単言うと、給与を払う側も受け取る側も同じ税率で税金を納める必要があります。ただし、1年間で給与の額が11万8500ドル(2017年)を上限とします。
Medicare TaxもSocial Security Taxと同様に雇用主、被雇用者の給与の額に対して1.45%をそれぞれ支払う必要があります。Medicare taxについてはSocial Security Taxのように上限はありません。
このSocial Security TaxとMedicare Taxですが、免除ができる場合があります。それは、米国税法上、非居住者と認められたときになります。一時的に米国に滞在しているF─1、J─1、M─1、Q─1などのStudent、Scholar、TeacherもしくはTraineeが相当します。ただ滞在する年数が長くなれば、非居住者というステータスが認められなくなるケースもあります。なお、F─2、J─2、M─2、Q─2ビザで米国内での給与所得がある場合は税法上、非居住者であってもSocial Security TaxとMedicare Taxを納める義務があります。
日本からのアメリカ駐在員の方に多いビザは場合は日米社会保障協定により、納税が免除される場合があります。
日本の社会保険加入資格を維持して、保険料を日本で納め続け、アメリカでの滞在予定が5年以下と見込まれる場合はアメリカでの納税が免除される可能性がありますので、アメリカでの給与を開始する前に会計士などの専門家に相談することをお勧めいたします。
(次回は5月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ