〈コラム〉何事も準備が大切

0

永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第92回

日本ではラグビーワールドカップが開催されています。ラグビーワールドカップといえば4年前に日本代表チームは強豪南アフリカを倒し、世界を驚かせました。

そして、今大会も日本代表チームは世界を驚かせています。9月28日に世界ランキング2位の優勝候補アイルランドと対戦しました。今大会前までのアイルランドとの対戦結果は7戦全敗、しかも平均点差は31点差という圧倒的な実力の差を見せ付けられてきた相手です。

ただ、今回の日本代表は違いました。3年前から監督が変わり、基本プレー重視から、世界トップレベルのプレースタイルに挑戦したと聞きます。世界トップレベルのプレーとは、選手自身がその場その場で判断をすることの訓練、高い攻撃技術、例えば、少し前までは日本では「両手で正確なパス」が基本でしたが、高度な技術が必要である片手のパス(オフロードパス)にも練習時間を掛けていたようです。

他にも血のにじむような練習メニューをこなし、しっかり準備をして結果、見事、優勝候補のチームを相手に19対12という逆転勝ちで大金星をあげることができました。日本のメディアはもちろん、世界のメディアも奇跡や偶然とは言えない試合内容を見て、日本代表チームの功績を称えました。

試合後にインタビューを受けたチームキャプテンのリーチ・マイケル選手は、「やってきたことが出せた。勝ちたいというメンタリティーが大事。やってきたことを信じること、意思統一ができたことが大きい」と応えたそうです。

南アフリカに勝利した時の基本プレーにとどまらず、もっと強くなるために挑戦し続けるという姿勢には感動します。これは、会社経営にも重なるところがあります。経営が上手くいっているうちは、現状維持に留まろうとする経営者も少なくありません。

ただ、時代は進んでいきます。ポケベルやVHS、さらに公衆電話など、昔は常識的に使っていたものもなくなりつつあります。会計士業界をみても、帳簿付けや個人タックスリターンなども自動化が進んできているようで、10年以内には会計士がする業務ではなくなる気がします。

そういうことを考えると現状維持という言葉はとても危険に感じます。常に時代の流れをよみとり、時代に取り残されないような挑戦的な準備も必要だと思います。

人工知能に職業を取られそうならば、逆に人工知能を開発する勉強をするなど、今までの概念を変える、ラグビーで言う「オフロードパス」の習得が成功の鍵かもしれません。

(次回は11月第2週号掲載)

〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ

過去の一覧

Share.