〈コラム〉伝え方の大切さ

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永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第97回

最近、セミナーや会議に出席する機会が増えたのですが、人によって物事の伝え方が違うものだとつくづく感じます。

先日、東京で会議があり、いろいろな世界の都市から食品輸出に強い専門家が集まり、これからの日本の輸出政策について意見交換してきました。パリやロンドン、ベルリンなど各都市代表の発表者は、自分の住んでいる都市の現状を説明して、その経験や知識からこれからの日本の輸出に関する提案をしました。

また集まった他の都市代表者たちとさまざまな角度で意見交換をすることができ、とても有意義なものになりました。出席者の伝え方の方法はそれぞれ異なりましたが、とても分かりやすく面白かったので、伝え方によって、固いトピックスでも明るく会議ができるということを知り勉強になりました。

さて、タックスシーズンになり、会計士にとって忙しい時期になってきました。税務や会計、経理の法律はただでさえ複雑なのですが、さらに頻繁に法改正していきますので専門知識をアップデートしなければ、「ガラパゴス会計士」と呼ばれてしまいます。

クライアントの中には毎年、改正点について教えてほしいという要望がありますが、それに対して分かりやすく説明できることも良い会計士になる条件だと思います。

私は会計士歴は10年しかありませんが、なりたての頃はいろいろな専門書を読んで勉強してきました。上級者の専門書を読むことだけが会計士業に役に立つと思っていましたが、それではクライアントに説明するときも固い表現になりがちです。

例えば、あまり税務に明るくないクライアントに減価償却費について聞かれたときに、「Section 179によるとですね、」などという言葉をつけるだけで、意味なく理解の敷居をあげてしまうようです。

現在は説明上手になるために初心にもどり、「ネズミちゃんが説明する簿記の本」や「数字に弱くても財務諸表が読める本」など初心者向けのタイトルの本を手に取ることが多いです。税務にあまり明るくない初心者のクライアントに説明するときに、初心者向けの入門書であれば、やさしく説明をする表現方法が書いてあることが多いです。

ある程度、自分に知識をインプットした後は、並行して伝え方の勉強をすることも大切だと思います。税法や会計に詳しいクライアントだけでなく、あまり知識がないクライアントにも、お笑いやかわいいキャラクターなどを駆使して、世界一楽しい会計セミナーなどできればいいですね。

(次回は4月第2週号掲載)

〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ

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