〈コラム〉中小企業救済プログラムPPPローン

0

永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第99回

新型コロナウイルスによる影響で、営業活動制限や外出禁止令が続く中で、特に資金力の弱い中小企業は大打撃を受けています。

米国連邦政府は、そのような中小企業を救済するため、Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security(CARES)Actの一環として、Paycheck  Protection Program(PPPローン)を実施しました。

中小企業の雇用を守るため緊急的な資金の借入を可能として、条件付きでその債務を免除できるという寛容な内容となっています。

第1弾の受付は4月3日に開始されましたが、申請が殺到してすぐに資金が枯渇してしまいました。すぐに追加枠が議会を通り4月27日から第2弾が実施されています。

PPPローンを申請できる対象企業は、原則500名以下の従業員を雇用するSmall Businessで、2020年2月15日よりも前に事業を運営しており、今回の新型コロナウイルス騒動によるビジネス被害状況を誠実かつ真実に申告しなければならない(Good Faith Certification)とされています。

売上げや顧客の減少、従業員の雇用維持の困難、経営維持の難しさなどがあげられます。

ローン可能額の計算としては、新型コロナウイルス影響前の従業員の月平均給与額の2.5カ月分になります。一人につき年間給与額10万ドルを上限として超える部分については計算から除外されます。

ローン支払いを受けてから8週間の間に、従業員給与、地代レント、不動産ローン利息返済、水道光熱費に関して支出した金額については、債務免除の対象となります。ただし、従業員給与コストに75%以上を使用しなければいけません。

さらにこの期間における従業員数の減少、または給料支払額の減少は、計算により債務免除の可能額も減額されます。

債務免除手続きについては、適正な書類上のドキュメンテーションを行い、すべてが正しいことを証明しなければいけません。債務免除されないPPPローン部分については、満期2年、利率1%の低利息ローンとして残ることになります。

ローン返済は6カ月間遅らせることができますが、ローンを受領した時から利息は計算されます。通常のローンでは債務免除額は、課税対象収入になりますが、PPPローンの債務免除額は非課税扱いとなります。

PPPローンは緊急に中小企業を救済するために実施された措置ということもあり、規定については不明確なところが多く、解釈によって意見が分かれるところが多いです。

正確な申請条件や免除方法を知るには、専門家に相談するなどして、アップデートされた最新情報をリサーチすることをお勧めいたします。

(次回は6月第2週号掲載)

〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ

過去の一覧

Share.