帰国生入試では海外在住年数と帰国のタイミングに注意が重要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
4月は日本から来米された方もおられますし、今回は、これから受験を考える方にもわかりやすく、帰国子女受験について、ご説明させていただきます。
まず初めに、帰国子女とは何でしょうか。私なりの解釈で説明しますと、日本国外に暮らす日本国籍の未成年者が、帰国した際に帰国子女と呼ばれます。したがって、海外で暮らした経験があれば、期間は短くても帰国子女です。ただし、帰国子女は保護者の海外転勤のため帯同された場合に限り、留学目的で海外に在住した場合は帰国子女ではなく留学経験者とか、海外就学経験者などと呼ばれることもあります。また、帰国子女は、帰国して何年経っても帰国子女ですし、大人になっても帰国子女です。したがって、学校や受験関係の現場では、帰国児童生徒や帰国生という名称がよく使われています。
次に、帰国生受験とは、帰国生受け入れ校の受験のことを指しますが、受験の話題に進む前に、帰国生受け入れ校について触れます。公立の小中学校は、義務教育段階ですので、すべての学校で帰国生を受け入れます。ただし、受け入れ後の扱いは、国内生と同じです。帰国生の人数の多い大都市では、特定校で日本語教室を設置したり、日本語の補習を行ったりしていますが、ごく少数です。一方で、国私立の小中学校や高校では、一部の学校が帰国生を受け入れます。帰国生のみの国際学級を設置、英語力の高い生徒の取り出し授業、日本語の指導や補習を実施する学校は少なく、受け入れ後は国内生と同じ扱いという学校が目立ちます。帰国生受け入れ校の多くでは、入試における配慮のみを行っています。入試における主な配慮は以下の通りです。
(1)帰国生専用の入試を行い、国内生とは別に選考する。
(2)国内生と同じ入試だが、受験科目数を減らしたり、帰国生に加点したりする。
帰国生入試の内容の詳細は、次回以降にご説明させていただきます。
帰国生入試は、受け入れ校にて受験資格を定めており、まず、海外在住年数が重要です。海外在住年数は、2年以上という学校が多いですが、中には1年以上でよい学校もあります。また、海外在住は保護者の転勤によるものとし、保護者の勤務先の在職証明書の提出が必要な学校が目立ちます。
一方、帰国後の年数も定められています。帰国後1年〜2年以内という学校が目立ちます。中には、海外在住年数と同年数、例えば海外在住4年なら帰国後4年以内まで受験可能という学校もあります。このため、早期に帰国し、日本国内で帰国生入試の受験対策をする方もおられます。
受験資格として注意しておきたいのは、受験時の現地校の学年です。高校入試では、公立高校の多くでは、9年間の教育課程を修了していることが必要です。したがって、日本の学齢では中3でも、4月に現地校の9年生を修了しないと受験できません。このような場合には、高校入試の前に帰国して中学に編入し、卒業する必要があります。ただし、私立高校の多くでは、入試に合格し、中学卒業と同等の学力があると判断されれば、入学を認めています。高校編入でも、10年生を修了していないと高2に編入できない学校もあります。一方、小中学入試では、義務教育段階でもあり、日本の学齢通り入学できる学校が目立ちます。
(写真:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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