受験資格を満たすため、帰国のタイミングを考えることが必要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
今回からは、帰国生入試のご説明をさせていただきます。最初に、該当年齢の子どもがすべて受験しなければならない高校入試について触れます。
高校入試は、高校1年生の4月から入学する生徒を対象としています。前回ご説明した通り、多くの高校が、入学前の3月までに中学校を卒業=アメリカの学校では9年生を修了している(3月時点で10年生である)ことを求めています。入学前の3月時点で9年生の子どもが高校に入学を希望する場合には、以下の方法があります。
(1)日本の中学校に編入学して卒業資格を得て、高校入試を受験する。
(2)日本人学校の中学部に編入学して卒業資格を得て、高校入試を受験する。
(3)9年生修了後の5月または6月以降に、高校の編入学試験を受験する。
(4)9年生在学中に高校入試を受験し、修了後の5月または6月に編入学する。
このうち、(1)については、遅くても中3の12月までに編入学することをお勧めします。公立中は住民登録すれば必ず編入学できますが、年明けからの編入生の受け入れは、学校にとって大きな負担です。(2)は、日本人学校のあるニューヨーク、ニュージャージー、シカゴ在住の方のみとなります。また、日本人学校卒業生を、帰国生として扱わない高校もありますので注意してください。(3)は、すべての高校で編入学の受け入れがあるわけではないことをお伝えします。編入学の受け入れは、原則として当該学年の定員に空きがある場合のみ行われるからです。(4)は、一部の高校のみに限られますので、志望校への確認が必要です。
一方で、高校入学前に9年生を修了できなくても、入試において中学校卒業と同等の学力があると判断されれば、入学を認めるという高校もありますので、志望校に確認してください。
次に、帰国生を受け入れる高校についてご説明します。
帰国生の受け入れを主たる目的に設立され、多くの帰国生が入学している高校は、国際基督教大学、南山国際、同志社国際、関西学院千里国際の4校です。しかし、南山国際は2023年度に廃校となります。
国立高校では、筑波大附属、筑波大附属駒場、東京学芸大附属、愛知教育大附属、名古屋大教育学部附属、大阪教育大附属池田、広島大附属の7校が受け入れを行っています。
公立高校では、北海道、福島、千葉、東京、神奈川、富山、石川、静岡、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、岡山、福岡、大分で、帰国生の受け入れ校を一部の高校に特定しています。
私立高校もすべての高校が受け入れを行っているわけではありませんが、慶應、慶應湘南藤沢、慶應志木、慶應女子、早稲田高等学院、早稲田本庄、早稲田実業、青山学院、中央大杉並、明治大明治、渋谷学園幕張、渋谷学園渋谷、巣鴨、豊島岡女子学園、桐蔭学園などのような難関人気校も受け入れを行っています。
このように、帰国生高校入試には受験資格があるため、帰国するタイミングを考えねばなりません。また、首都圏や近畿圏には多くの受け入れ校がありますが、帰国する地域によっては受験校が限られてしまいます。場合によっては、帰国生を受け入れてない高校を国内生と同じ土俵で受験しなければなりません。早めに情報収集し、対策を検討することをお勧めします。
次回からは、高校入試の選考方法や高校への編入学についてご説明します。
(写真:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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