帰国生大学入試はもちろん、中高生で帰国後もTOEFLのスコアアップが重要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
2020年度帰国生大学入試がスタートしました。国内生の入試は、推薦入試を除き、年明け1月の大学入試センター試験に始まり、2月からの私立大学入試、国公立大入試と続きます。また、また合否判定は、出願書類による選考より、筆記による学力試験の結果が重視されるのが一般的です。しかし、帰国生大学入試は海外の高校で学んだ生徒が受験するため、国内生とは異なる選考が行われます。出願に必要な書類や入学試験では、早めに準備をしないと間に合わないものもあります。
出願書類の中で重視する大学が多いのが、TOEFLのスコアです。出願基準点としている大学や合否判定に利用する大学があります。出願基準点は大学や学部によって様々ですが、アメリカの大学の入学基準並みのスコアを設定している大学もあります。合否判定に利用する場合は、他の書類や学力試験の得点などとともに使用されるため、合格ラインとなるスコアは明確ではありません。ただし、大学・学部によっては、120点満点中100点以上の高スコアがないと合格できないということもあります。東大や京大、早慶上智大など難関大がそれに該当します。また、有名私大に入りたい場合には、80点以上のスコアを獲得しないとなりません。
また、アメリカの高校出身者には、SATやACTのスコアが求められる場合もあります。SATを課す大学には、SAT Subject Testsのスコア2~3科目を求める大学もあります。SATは、東大や京大、慶大など難関大学の一部が求めているだけですが、これらの大学を目指す場合には、SATのスコアアップのための学習が必要です。SATやACTはアメリカの大学に進学する高校生が受験する共通テストですので、現地校で学ぶ英語や数学をはじめ、歴史や経済、政治、物理、化学、生物などを習得する必要があります。帰国生入試でも難関大に合格する受験生のSATのスコアは1600点満点中1350点以上と高スコアです。SAT Subject Testsの各科目でも、800点満点中最低でも600点台後半以上、中には800点満点を獲得している生徒もいます。なお、SATは実施時期や回数が限られていますので、計画を立てて受験する必要もあります。
日本の中学校や高校に入学した場合には、帰国生大学入試が受験できないという大学もありますが、在外年数が4~5年以上の場合には受験可能な場合もあります。また、帰国予定が明確でなく、現地の高校を卒業する可能性がある場合には、TOEFLやSATの対策を進めておくとよいでしょう。TOEFLのスコアは、国内生が受験する大学入学共通テストの英語として利用できますし、英語圏で生活し、現地校で学んでいる時の方がスコアアップを図りやすいからです。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org