高校生で帰国する場合の学校選び

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目立つ帰国生の私立高校への進学

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

 

丹羽-2019年12月

高校生で帰国する生徒は、年間約2000人で、約75%が私立高校、30%弱が公立高校に進学し、国立高校に進学している生徒はごくわずかです。帰国生徒数の全生徒数に占める比率が10%以上という高校は25校ありますが、公立高校は都立国際高校と神戸市立葺合高校の2校のみで他は私立高校です。また、私立高校では、帰国生徒数が100人以上の学校が約20校、50人以上が約50校、20人以上が約80校ありますが、公立高校では、20人以上が以下の14校のみですし、10人以上の学校も約30校しかありません。

東京都国際、三田、竹早、日野台
神奈川県横浜国際、神奈川総合、新城
横浜市:東
愛知県千種、豊田西、刈谷北
大阪府:住吉、千里
神戸市:葺合
*太字で赤文字の高校は帰国生徒数50人以上

このように帰国生が私立高校に進学する傾向が強い理由の一つは、出願資格や入試方法が公立に比べ柔軟であることです。

例えば、多くの公立高校が高校入試の出願資格を、現地校の9年生修了者としていることが挙げられます。帰国生の中には、高校入学時に現地校の9年生を修了できないケースも目立ちます。学校区ごとに定められている生年月日の規定や現地校転入時の英語力などによって、学年を下げていることがあるからです。

また、私立高校の入試では、国語、数学、英語の3教科というケースが目立ちますが、公立高校では、以下の23道県で国語、数学、英語に社会、理科を加えた5教科が課されます。

北海道*、青森、岩手、秋田、山形、千葉*、富山、石川、静岡、愛知*、滋賀、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、宮崎、鹿児島、沖縄
(*札幌市立は作文のみ。千葉の安房と柏市立柏は3教科。愛知の合否判定対象は、国・数・英の3教科)

さらに、福島、栃木、神奈川、新潟、長野、岐阜、三重、兵庫、奈良、広島、愛媛、福岡、長崎、熊本の14県では、作文または小論文が課されます。

帰国生の学年別の比率を見ると、1年生が約65%、2年生が約20%、3年生が約15%で、高校入試を受験したり、高校1年生で編入したりする帰国生が多いことが分かります。高校への編入は、すべての帰国生受け入れ校で必ず行われるわけではなく、欠員が生じた場合のみに行われることが多いですし、帰国時期にタイミングよく編入できるとも限りません。また、高2での編入は、高1での編入よりも門戸が狭くなりますし、高3に入ってしまうと編入できる学校はごくわずかになってしまうからです。

一方、帰国生大学入試の出願資格では、高校編入後受験できるのは国公立大学や早稲田大や慶應義塾大などを除く私立大学に限られますし、帰国後1年半以内なら受験可能ということも多いので、高2の夏休み明け以降に編入せねばなりません。また、国内生と同様に一般入試を受験することを視野に入れれば、できるだけ早く帰国した方が良いということになります。また、大学附属の高校に編入すれば、内部進学制度によって、大学受験をしなくてよいということもあります。内部進学制度は私立高校にしかありませんので、これも帰国生の私立高校への進学率が高い理由の一つでもあります。

丹羽2019年12月-2

さらに、高度な英語教育や海外での研修制度、帰国生へのサポートなどが充実している学校は、私立高校に目立ちます。施設や設備、部活動なども同様です。これも帰国生の私立高校への進学率が高い理由となっています。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

 

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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