家庭で話し合い、重視するポイントを決めることが大切
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
中学生や高校生で帰国する場合、帰国後の学校選びがとても大切です。前回は、学校選びの進め方についてご説明しました。学校選びを進めていく中では、多くの学校が視野に入って来るかと思います。その中で、お子さんにあった学校を絞り込むことは、なかなか大変です。ここでは、受験校を絞り込む際のポイントと注意すべきことについて挙げてみました。
・自宅からの通学時間
公共交通機関を利用した長時間の通学は、特に海外生活に慣れたお子さんにとって負担です。
・公立校か国私立校か
公立中学は住所を定めれば、いつでも入学できます。ただし、学校の様子を確認し、お子さんがなじめるかどうかどうかを判断することが必要です。国私立中学や高校は入学試験がありますので受験対策が必要です。また、入学・編入学希望時に受け入れがあるかどうかも確認が必要です。
・共学校か男子校・女子校か
帰国生は共学校志向が強いですが、男子校や女子校には共学校にない良さもあります。校風や学校の特徴がお子さんに合っているのかどうかを調べましょう。
・大学付属校・中高一貫校
大学付属校は系列校への内部進学の比率や選考方法を確認する必要があります。中高一貫校でも高校への進学の際に条件がある場合があります。
・帰国生徒数や全校生徒に占める比率
海外生活が長いお子さんにとっては、帰国生の多い学校の方が快適に過ごせる傾向にあります。全校生徒に占める帰国生の比率に注目すると良いでしょう。
・英語教育の充実度
帰国生のみの学級や英語の特別クラスを設定している学校もあります。また、他の学校より英語の時間数が多い学校や課外授業で英語を強化している学校、国際バカロレア資格が取得できるプログラムの授業を英語で行っている学校もあります。海外での語学研修制度の有無や内容も確認しましょう。
・帰国後のサポート(補習やカウンセリング)
日本語力が不足している生徒には、日本語の指導や授業の補習を行っている学校もあります。また、カウンセラーを配置し、学校生活をサポートしている学校もあります。
・部活動の種類や活動の様子
アメリカの学校に比べると種類が少ない場合もあります。例えば、吹奏楽部はあっても、弦楽器のできる部がないなど。部活動を継続したい場合には確認が必要です。
・施設や設備(冷暖房、無線LAN、寮の有無)
特に公立校においては、暖房はあっても冷房はないこともあります。PCを全生徒に貸与したり、校内でWi-Fiが使えたりする学校もあります。寮を設置している学校なら親元から離れていても入学できます。ただし、保護者の住所に寮から2時間以内などの制限を設けている学校もあります。
このほかにも受験校を絞り込むポイントは多数あります。ご家庭で十分話し合い、どのポイントを重視するかを決め、お子さんにあった学校選びを進めましょう。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org