学校により提出する書類が異なるので注意が必要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
来年の4月に入学する2024年度帰国生入試がスタートしています。帰国生入試の受験対策として、出願書類の準備も重要です。出願の際には、願書に加え、以下の書類などが必要です。
1)成績証明書
2)活動の記録
3)海外在職証明書
4)パスポートのコピー
5)英語力を証明する書類
6)志望理由書
7)推薦書
1)成績証明書は、海外で通学した公教育機関のものが必要です。公教育機関とは現地校または全日制の日本人学校を指します。補習授業校は日本の学校に準じた教育を行っていますが、公教育機関には該当しません。したがって、受験校が特に指定していない場合には、補習授業校の成績証明書は不要ですし、必要であったとしても、通知表のコピーで良いとされることが多いです。
成績証明書は、受験を予定している学校数より多めに持ち帰ることをお勧めします。受験予定校以外を受験する必要が生じた場合、入手することが難しいからです。
なお、成績証明書は、中学入試では4~6年生の分、高校入試では7~9年生の分、編入学の場合は直近の2~3年分が必要ですので、ハイスクールとミドルスクールの両方に依頼せねばならないこともあります。
2)活動の記録は、現地校の成績証明書には、成績以外の記載がないため、提出を求める学校があります。学校指定の用紙に記入して提出します。記入する内容は学校によって異なりますが、課外活動や生徒会活動の記録、特技や資格などについて記入することが多いです。
3)海外在職証明書は、保護者の勤務先の発行した書類が必要です。帰国生中学・高校入試の受験資格は、保護者の海外勤務に伴う海外在住を条件としていることが多いからです。子どもだけでの留学や保護者の留学のために帯同した場合は受験資格はないことが多いです。したがって、保護者が海外で勤務したことと、子どもを帯同したことを企業に証明してもらう必要があります。大使館や領事館が発行する海外在留証明書は無効ということがありますので、ご注意ください。
4)パスポートのコピーは、受験生の身分証明、主に生年月日の確認に利用されます。出願資格として国籍や人種を問うような学校はほとんどありません。
5)英語力を証明する書類は、英検合格証、TOEFLやTOEICなどのスコア証明書を指します。中学入試では英検2級、高校入試では英検準1級に合格していると、英語の学力試験が免除されるとか、書類選考のみの推薦入試の受験資格が与えられるなどのアドバンテージとなることもあります。ただし、すべての学校で提出が必要ということではありません。
6)志望理由書も必ず提出が必要なものではありません。必要な場合には、願書の所定欄または学校所定の用紙に記入します。
7)推薦書も、推薦入試を受験する場合以外には必要ありません。提出が必要な場合、多くが書式は自由ですが、学校によっては所定の用紙での提出を求めます。多くの学校で、在籍校の校長名での推薦書を求めますが、それに加え、課外活動での実績を証明することのできる団体の長の推薦書や補習授業校の校長の推薦書の提出を求める学校もあります。推薦書は校長名や団体の長の名前で発行してもらうことが必要ですが、記入者は校長や団体の長である必要はありません。誰に書いてもらうかなどは、在籍する学校や所属する団体にご相談ください。
なお、出願書類は、学校により必要な書類や書式などが異なりますので、必ず出願校の募集要項で確認いただき、不明な点については、出願校に直接お問い合わせされることをお勧めします。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org