教科書の学習を基本にして、受験校の出題傾向に合わせた対策も必要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
前回お伝えしたとおり、今回は多くの帰国生高校入試・編入試験で出題される国語・数学・英語の学習方法について、ご説明します。
《国語》
多種多様な分野の文章を多読する。「書く」習慣を身につける。読解問題は、詳しい解説のある問題集で練習するとよい。古文や漢文の単独での出題は多くはないが、課題文内に取り上げられ、古典の知識を要する出題もある。文法、ことわざ、慣用句、四字熟語、文学史などは、覚えれば確実に得点になる。
《数学》
計算を暗算でスピーディーに行う練習をする。最短解法を身につけるため、時間を計って問題を解く。計算問題は答えのみでなく途中式も書く。証明問題での説明方法など日本式の解答方法に慣れる。中高一貫の難関高校の入試では、高校数学で扱う内容まで学習しておいたほうが有利。
《英語》
文法をしっかりと学び、入試問題を解く練習を積む。現地校では英語で学んでいるので、テストで得点できると思ったら大間違い。英語でのコミュニケーション能力を評価する方向にシフトしているとはいえ、未だに「文法」を中心とした出題傾向が目立つ。丁寧な解説がついた参考書で言葉の決まりを確かめながら、入試問題集に取り組むとよい。一方で、英検やTOEFLなども積極的に受験したい。英検では準1級合格、TOEFLではiBTで79以上のスコアが獲得できれば、難関校の推薦入試出願資格が得られる。
高校入試の出題範囲は、中学校の教科書で履修した内容となりますが、編入試験では各校の同学年が履修した内容となりますので、使用している教科書や学習進度をお伺いすると良いでしょう。
また、帰国生高校入試では、ほとんどの高校で面接が課されます。面接で質問される内容は様々ですが、よく聞かれることに的確に回答できる準備のポイントを以下に記します。
1)志望理由を明確にする。
学校ごとの特徴を十分に理解し、「なぜ入学したいのか。」という理由を言えるようにする。
2)将来の目標を持つ。
卒業後の進路と高校時代にやりたいことが結びつくことが望ましい。
3)自分をアピールする。
長所や特技を言えるようにする。部活動やボランティア、生徒会活動なども行うとよい。
4)海外で暮らした経験を説明する。
自分が暮らしている国や地域、通学した学校の特徴を理解し、説明できるようにする。
5)興味や関心について語る。
気になるニュースの内容や問題点・解決法など、また、好きな本の書名・著者名・あらすじ・好きなところなどをまとめ、説明できるようにする。
これらのポイントは、面接だけでなく作文や小論文の対策にもつながります。勉強だけでなく、海外生活でしかできない体験を、より多く実践することが大切です。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org