帰国後の英語力の保持・向上を目指す方法

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在外子女教育に携わって考えること(その11)

親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育

米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

ネイティブの先生の英語を体感

ネイティブの先生の英語を体感

英語圏での生活や現地校の学習で身に付けた英語力を、帰国後も保持し、さらに向上させたいと思っておられる親御さんは多いでしょう。これを実現するために、どのような方法があるのかを、すでに帰国したご家庭の事例を参考にしてご紹介させていただきます。

1)帰国生受け入れ校に入学・編入学する方は多数おられます。しかし、必ずしも充実した英語教育が受けられるわけではありません。入学後は国内生とともに学ぶという学校がほとんどです。したがって、英語力の向上を図るよりも授業についていくための学習に追われている子どもも目立ちます。一方、帰国生専用クラスのある学校は少ないですし、英語力の高い児童生徒がいることを考慮して授業が行われる場合もありますが、日本語力が不十分な児童生徒へのサポートが中心という学校もあります。したがって、帰国生専用クラスのある学校に入ったものの、英語力の保持や向上は図れなかったという子どももいます。

2)帰国生受け入れ中学校や高校のうち、英語力の高い帰国生を考慮して、英語の取り出し授業という英語の授業のみ別クラスで行う授業を受けられるという学校に進む方もおられます。しかし、このような学校は、最近は減少傾向です。それよりも、英語の授業時間数が多い、英語はレベル別のクラスで授業を行う、高レベルの英語の特別授業を放課後に行うなど、国内生も含めて英語力の向上を目指すカリキュラムを設置している学校が目立ちます。このような学校に入学・編入学し、英語力の保持や向上を図っている子どもは少なくありません。

3)英語の授業だけでなく英語以外の多くの授業を英語で教える、いわゆるイマージョン教育を行っている学校に入る方も増えています。このような学校では、英語を使う頻度がより多くなりますので、ますます英語力が向上したということも耳にしています。しかし、日本語力が伸び悩み、その後の進学に支障があったというケースもあります。

4)国際バカロレア(IB)プログラムを導入し、その授業を英語で行っている学校に進んだ方もおられます。高校でIBのディプロマを取得すれば、全世界のすべての大学の入学資格が得られるため、アメリカの大学に進学したという子どももいます。

5)インターナショナルスクールを選択する方もおられます。ほとんどの授業が英語で行われますし、外国人とともに学びますので、現地校に近い環境があります。英語力の保持や向上は期待できますが、多くの学校が文部科学省の認定校ではないため、9年生を修了しても日本の中学校を卒業と同等とは認められないことが多く、日本の高校に進学できないことがあります。また、学齢相応の日本語力が習得できない可能性もありますので注意が必要です。

すべての教科を英語で学ぶ

すべての教科を英語で学ぶ

次回は、『グローバルな世界に羽ばたいた子どもたちについて』を掲載します。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

●親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育──過去の掲載●

●「在米親子にアドバイス」日米の教育事情──過去の掲載●

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