日本語学習のモチベーション継続が重要

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一時帰国後の日本語学習に必要なこと

親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育

米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

夏休みを利用して一時帰国していた家庭も、自宅にすでに戻ったり、これから戻ったりすることと思います。日本で楽しく過ごした子どもたちは、その思い出の余韻に浸り、また日本に行きたいという強い気持ちが膨らんでいることでしょう。このような状態のときは日本語学習のモチベーションが高まっているはずです。日本語力の向上のためには、このチャンスを逃さないでいただきたいです。時が過ぎると徐々に日本語学習のモチベーションが低下してしまうからです。では、どのように日本語学習のモチベーションを継続させればよいでしょうか。

好きな日本のアニメを観る子どもたちのイメージ画像(筆者作成の生成AI)

好きな日本のアニメを観る子どもたちのイメージ画像(筆者作成の生成AI)

それは、海外の家庭環境を、日本を感じることのできるようにすることです。

1)日本語の本や雑誌を、常に目につきやすい場所に置く
日本の家庭では、至る所に日本語の本や雑誌が置かれていますので、できる限り、その状態に近づけることによって、それらを手にしやすくなります。子どもが好きな漫画の本や絵本、昔話や小説など、年齢や日本語力に応じて用意するとよいでしょう。

2)テレビで日本語放送や日本語の動画などを視聴しやすくする
日本の家庭では、家族団らんの時間にはテレビを観ることも多く、日本語を見聞きする機会が多いですので、その状態に近づけることが必要です。海外でも日本の放送を視聴できるプログラムの契約をしたり、インターネットで動画サイトなどを受信したりするとよいでしょう。年齢や日本語力に応じたアニメや子ども番組を観ることもよいですが、子どもが興味を示せば、どんな番組でも結構です。

3)家庭内で日本語を使う
日本では、英語のできない親族や知人と過ごしたり、外出したりした際に、日本語を聞いたり話したりする機会が多いので、その状態に近づけることが必要です。家庭内では、できる限り日本語を使う習慣をつけるようにしましょう。父親または母親と日本語で会話ができても、兄弟姉妹の会話で日本語を使わないと効果は薄れます。両親ともに日本語で会話ができない場合には、定期的に日本にいる親族や知人などとオンラインを利用して会話するとよいでしょう。

上述したのは一例であり、家庭や個人によって適している方法は同じではありません。子どもが日本や日本人が好きという気持ちを保ち、日本語学習のモチベーションを継続させ、子どもが積極的に日本語学習を行うような状況を作ることが重要です。

家庭内で日本語で会話する親子のイメージ画像(筆者作成の生成AI)

家庭内で日本語で会話する親子のイメージ画像(筆者作成の生成AI)

最後に、もう一つ大切なことを追記します。そのたびに子どもの日本語力の上達をほめてあげてください。「今使った日本語は、とても上手だったよ。」とか、「そんな言葉を覚えたんだね。すごいね。」などというような励ますような声かけが、日本語学習のモチベーション向上につながるはずです。

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
E-mail:info@ujeec.org

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