多様化する補習授業校生の日本の大学進学方法
親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
日本では、大学共通テストが終了し、間もなく各大学の入学試験が始まります。最近では、学力試験が行われる一般選抜(一般入試)を受験する生徒に加え、学校推薦型(推薦入試)や総合型選抜B(AO入試など特別入試)を受験する生徒が増加傾向にあります。
海外の高校で学び帰国後に受験する帰国生入試は、9月から始まって、多くの大学の入試が年内で終わり、2月下旬の国立大学前期日程に試験を行う東京大学や京都大学などの国立大学や2・3月に試験を行う公立大学を残すのみとなっています。私が勤務する補習授業校の生徒にも、すでに入試が終わり4月の入学を待つばかりとなっている生徒が目立ちます。

日本の大学入試会場のイメージ画像(筆者作成の生成AI)
ただし、最近では、かつてのような帰国生入試以外の方法で日本の大学進学を目指す生徒もいます。
その一つが、外国学生入試(外国人留学生入試)です。ここ数年、帰国生入試を廃止する大学が表れており、早稲田大学ではほとんどの学部・学科で帰国生入試が廃止されました。しかし、早稲田大学の外国学生のための学部入学試験は、海外の学校に在籍し卒業すれば、日本国籍でも受験できることがわかったからです。この入試では、1次選考が日本留学試験(EJU)の結果とTOEFLのスコアで、2次選考が面接です。また、慶應義塾大学の外国人留学生入試を受験する生徒もいます。日本留学試験(EJU)は6月と11月に実施されますが、北米に試験会場がないので日本で受験しなければなりません。また、大学受験に必要な科目は、早稲田大学の場合、文系学部では日本語と総合科目(地理・歴史・公民の知識を要する問題)または数学、理系学部では日本語と数学・理科です。
また、日本の受験生と同様に、総合型選抜のAO入試やグローバル入試などを受験する生徒もいます。早稲田大学政治経済学部では帰国生入試が実施されませんが、グローバル入試を受験できます。また、早稲田大学人間科学部は、FACT選抜を受験できます。慶應義塾大学法学部は帰国生入試を実施していますが、合格するためにTOEFLやSATの高スコアが必要だったり、海外の高校卒業を要件としていたりしますので、それらを満たさない生徒が、FIT入試を受験します。このような総合型選抜は、帰国生入試と同様に、小論文と面接という選考方法で入試が実施されることも受験のしやすさにつながっています。なお、2027年度入試から慶應義塾大学総合政策学部と環境情報学部の帰国生入試が廃止されますので、これらの学部を希望する生徒はAO入試を受験することになります。
さらに、昨年11月のコラムでもご説明したとおり英語学位取得プログラムの大学・学部への進学を目指す生徒もいます。これらには、日本語に自信がないが日本の大学に進学したい生徒や、帰国後も英語力を保持・向上させたい生徒が目立ちます。ほとんどの学部・学科で帰国生入試を実施しない早稲田大学は、英語学位取得プログラムであれば多くの学部・学科に進学でき、SPSE(政治経済学部)やSILS(国際教養学部)が人気です。そのほか、慶應義塾大学PEARL(経済学部)、上智大学SPSF(総合グローバル学部)、東京大学PEAK(国際教養・環境科学)、立命館大学GLA(グローバル教養)、名古屋大学G30プログラムも人気です。また、2027年度から、東北大学ゲートウェイカレッジと東京大学カレッジオブデザインが新たに募集を開始しますので、ますます英語学位取得プログラムが注目されそうです。

日本の大学の合格発表のイメージ画像(筆者作成の生成AI)
このように、補習授業校の生徒が日本の大学に進学する方法は多様化しています。生徒たちが自分に適した進学方法を選択し、希望する大学・学部に進学し、学生生活を謳歌してくれることを期待しています。
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学北米・中南米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
E-mail:info@ujeec.org