〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第69回

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鏡との付き合い方

dodl 鏡との付き合い方について少し書きたく思います。男性は女性と違い、子供のころから鏡を見ることをほとんどしませんね。私も子供のころ、自分の顔なんぞ朝晩歯磨きする時くらいしか見ませんでした(笑)。私たちの時代は“男のくせに鏡を見るなんて…”と笑われたものでした。
初めて洋服を着て鏡をマジマジ見たのは、大学の入学式で着るためのジャケットとスラックスを一人で買いに行った時(スーツは高校生の時に買いましたが、全てお店の方にお任せ)。お店のフィッティングルームの中で今でも覚えていることは、いわゆるシャツの胸元、Vゾーンだけなんですが、洋服全体のシルエットについてまるで記憶がないのです。
誰でもがファッションモデルのような体形ではありません。私たち一人一人の顔や体形は皆異なり、そのこと自体とても大切なことだと思うのです。そして皆異なる顔と体形、ひいては個性をより良く“魅せる”ため、まず基本を知り、経験と工夫を重ねることが必要なのです。
第1にご検討いただきたいことは、オフィスでもご家庭でも全身が映る大きな鏡をご用意いただくこと。そしてその鏡を最低3メートルは離れて見られる環境を作っていただくことなんです。毎朝家を出る前と帰宅後にご自分の全身をゆっくりと最低1分間マジマジと見るクセをつけていただきたいのです。洋服を着こなす上で一番大事なこと、それはご自身の全身、姿をあたかも他人、第三者を見るような目線で見ることができる眼を養っていただくことなのです。ご自分の身長、体重はもとより、体形の特徴なども他人目線で冷静に見ることができるようになって初めて着こなしの上達は始まるのです。私たちは、一般的に鏡との距離が近過ぎ、かつ誤った角度でご自分の姿を鏡で見るクセがついたままの方がまだまだ多いようなのです。それでは上着の肩幅、着丈や上着のボタンの位置、そのバランスがいつまでたってもご自身の眼で判断できるようにはならないのです。それではまた。
(次回は9月13日号掲載)
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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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