〈コラム〉導院整体センター、鈴木規正「心身整体道場」第10回

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なぜAさんは病院の裏口から逃げ出したのか?

導院整体の鈴木です。最近、来院する患者の辛い体験談で身につまされる思いをしています。長年の病院通いで心身共に疲れ果て、「医者は誰も信用できない!」と言い切る人たちが多数来院しています。
初めは何でもない症状でも、長引く対症療法で薬物を飲み過ぎると、免疫力が低下し体質を歪め、病状を悪化させたり、連鎖して新たな症状や痛みを発生させます。抗炎症剤やステロイド剤などは痛みや炎症を一時的に抑える強い薬剤ですから、安易に使い、それに頼りすぎると、有害物を排泄しようとする身体の治癒反応を抑え込むことになり、逆に難病化します。
さらに神経の緊張状態の継続は、細胞の老化、ガン、心臓病を引き起こします。過食・肥満になると、糖尿病、痛風、リウマチ、アレルギー疾患等の自己免疫症へ移行し、難病化(慢性化)します。本人が身体の痛みや精神的な病に悩み・苦しむことになるのです。
体は正直で、体調を筋肉の硬直や骨格転位で示します。これらの人に現れる共通の特徴は、「く」の字に折れ曲がった全身、背中(背骨)が左右に湾曲・捻転・凹凸したり、筋肉群が異常に硬直、膝が曲がらない、歩けない、首が廻らない、頭痛に悩む―などです。さらに日夜続く慢性的な痛みで、うつ状態になる人もいます。
その結果、「気の流れ・血液循環の悪化・免疫力の低下」が起こり、様々な生活習慣病を引き起こします。MRI、レントゲン写真を持って来られる方もいますが、背骨(脊椎)が転位・曲がっているかどうかは、熟練の整体師はレントゲンを撮らなくとも解ります。
まずは薬をやめて悪循環を断ち切ること。その上で背骨や骨盤を調整、自律神経のバランスを整え、「気血水」を高める治療を継続すれば「自己治癒力」は上がり、時間は掛かっても根治できるはずです。歪んだ身体の土台(骨盤)を元に戻し、背骨や仙骨の湾曲・乱列・歪み・捻転・股関節亜脱臼など整復すると、痛みの根本の原因がなくなり体が楽になります。また身体バランスを整えることで、自律神経の流れが良くなって冷え性がなくなり、自己修復力が高まります。風邪、湿疹、下痢、咳、鼻水などは異物から健康を守ろうとする自己の治癒反応で、全て体に必要なことなので、これを抑え込んではいけません。さらに真向法や軽い運動して汗をかくこともいいことです。
【実際の事例】
Aさん(南米人男性、会社員、30歳代):数年前の交通事故以来、左下半身の硬直・痛み・痺れに悩む。病院を転々とし、鎮痛剤、ステロイド、胃腸薬、肝臓薬、腎臓薬、コーチゾール注射を繰り返し、薬漬け人生を経験。痛みで眠れない、仕事も集中できない、そして好きなサーフィンを諦めた。最近ではうつ病に悩み、誰も信じられなくなり、夫婦喧嘩が絶えなかった。さらに痛みが全半身へ広がり、頭痛にまでなった。数カ月前に紹介された病院で「耳を中心に上下4箇所に注射を打つ」と言われ怖くなり、裏口から逃げ帰った。
当院で診ると、身体は筋肉硬直、重症の骨盤転位。そこを中心に「く」の字に折曲、捻転が見られた。ちょうど“濡れタオル”を絞ったように。脊柱がカーブ・乱整列、明らかに自律神経が圧迫され、さらに右肩の捻転があり、首(頚椎)が右に牽引されていた。まず薬をやめてもらい、代わりに「湯ざまし、天然濃縮クランベリー」を飲んでもらった。緩解指圧後、整体で骨盤調整、腰椎仙骨を中心に全身のバランスを調整。初回の施術で慢性の頭痛がなくなり、2~3回目の施術では身体バランスが戻り、痛みがなくなった、顔付きは見違えるように明るくなり、笑顔や冗談が出るようになった。走れるようになり、現在では体操やランニングで筋肉を鍛えている。すぐにまたサーフィンができるようになるでしょう。
(次回は12月1日号掲載)

Nori at NYGoCenter.〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。

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