日本クリニック「医療の時間」第30診
●定義●
がんとは成長、増殖においてコントロールの利かなくなった異常細胞(がん細胞)により構成された悪性腫瘍で、局所的に増大するのみならず体の他の部位に転移することにより細胞や臓器の正常な働きをさまたげ人体に悪影響を及ぼす疾患です。
●原因●
化学的物質(タバコ、お酒など)、感染症(ウイルス,細菌など)、放射線などにより細胞の核内にある遺伝子を構成するDNAが損傷し増殖をコントロールできなくなった異常細胞群により構成され悪性腫瘍として確立されます。
●種類●
悪性度によりメラノーマ(悪性黒色腫)と非メラノーマに分けて紹介いたします。
(1)メラノーマ
他の皮膚がんと比べ増殖、転移のスピードが格段に早く悪性度が非常に高いがんです。紫外線の影響で発生頻度が高まるのは周知の事実ですが、普段日光に当たらない足の裏、足の指、陰部に生じることもあります。ABCDEの頭文字からなる臨床像がよく知られております。ほくろのように見えながらAsymmetry(左右非対称)、Irregular Border(辺縁ギザギザ)、Heterogenic Color(濃淡不正)、Diameter﹀6ミリ(直径)、Evolution(進化、変化する外見)のような特徴が見られる場合メラノーマが疑われます。
(2)非メラノーマ
何種類かありますが、ここではその代表例である有棘(ゆうきょく)細胞がんと基底細胞がんについて記述したいと思います。有棘細胞がんの方が悪性度が高いですが(増殖、転移のスピードが基底細胞がんに比べて早い)、両者とも内臓のがんに比べると増殖、転移のスピードが遅く外から観察可能ですので早期発見、早期治療してしまえば何ら恐れることはありません。基底細胞がんはまず転移することはありませんが、局所的に増大し、放置すると骨にまでがん細胞が波及することがあります。外見上、湿疹、傷、染みおよび、ほくろと見間違うことが多いようです。
●治療方法●
皮膚がんが疑われる場合、切除が治療方法の第1選択となります。メラノーマ、非メラノーマの両者とも白人に比べると日本人はその発生頻度がはるかに低く、それほど心配する必要はありませんが、前述のABCDEにあてはまる、ほくろのようのものや体のどこか(特に日光露出部位)に治りにくい湿疹や傷がある場合は一度受診してみてください。
(次回は11月17日号掲載)
〈今回の執筆者〉Dr.フーン・チャン(Hoon Chung MD)延世大学医学部卒業、東京大学医学部付属皮膚科学教室で皮膚科研修終了後、東京で皮膚科医院を開業し10年間にわたり多くの患者を診療。また東京虎ノ門病院皮膚科でにきび専門外来も担当。日本語、韓国語可。
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