〈コラム〉Dr. 鈴木の病める者を癒やせ【第3回】

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余計な検査は病気を作るだけ

「老化をあるがままに受け入れ、痛み、苦しみがあるとき以外は、病院には近づかないほうがいいのではないか。私はそう考えています。現在71歳ですが、11年前の還暦の時に妻ともども決心して、健康診断やら人間ドッグ、血液検査さえもすべてやめました。そして、そうした検査のストレスがいかに重かったかということに気がついたのです。私たちの日常は、とても穏やかなものになりました」。拓殖大学学長で経済学者の渡辺利夫氏は柔らかい口調でそう話してくれました。
愛煙家の渡辺氏は、40代、50代の頃は年に1~2回、人間ドッグを受けていました。しかし、ある時ふとそのおかしさに気がついたといいます。「たとえば検査で肺に異常な影があると言われたとします。その後、ファイバースコープを飲まされて、生検(生体組織診断。患者の一部を切り取って調べる検査)を受けたそうです。こうした検査自体が苦しく、その予後はもっとつらかったといいます。検査が出て再検査。また生検をして、さらに結果を待つ。働き盛りの人でも、この間、生きた心持ちのしない時間を過ごして凄まじいストレスを受け続けることになります。
「肺に影が」「胃の数値に異常が」そんな所見が出て、一瞬頭が働かなくなった経験はありませんか? 精密検査の結果を待つ精神状態は思い出したくもないはず。このストレスこそ、病気の源なのです。
「年をとれば、検査で何らかの異常値は必ず出ます。加齢とともに異常値の出る頻度は確実に高まっていくわけです。症状もないのに検査によって病気をひねりだすような愚かなことはやめようと決めたのです。やめれば穏やかな身体感に必ずや目覚めます」と、渡部氏同様、早稲田大学教授の池田清彦氏(62歳、生物学)も検査は不要という信念があるといわれていました。(筆者が寄稿したアスパラクラブ通信からの抜粋)
(次回につづく。次回は10月第3週号掲載)

 

0719-eldersDr Suzuki Picture 〈プロフィル〉鈴木眞(すずき・まこと) 1935年生まれ。58年早稲田大学卒業。総合商社開発課長を経て日米合弁企業マーケティング担当取締役、日独合弁企業社長を歴任。のち脳血栓に倒れる。ゲリー・マーチン博士の指導によるビタミン・ミネラル投与法を実践して健康の回復に成功。米国ネーチャーズサンシャイン社日本代表などを務めた後、88年米国エルダース栄養科学研究所を設立して独自ブランド「M10-8」シリーズのサプリメントを開発。米国栄養薬理学界会員、栄養学博士(Ph.D in Metabolic Nutritional Science)。
ウェブ】www.eldersinternational.org

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