タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第46回
最新の業界リポートの中で賃貸アパートの価格推移の発表がありました。今一番人気のブルックリン地区ダンボが、ついにマンハッタンを突き放しニューヨークで最高値のエリアになったというリポートです。マンハッタンの価格が3195ドルなのに比べて、ダンボは4000ドルと決定的な差がついています(他にマンハッタンを超えているのはウイリアムスバーグの3199ドルだけです)。
1970年代後半からボヘミアンや芸術家たちがダンボ(この呼称が登場するのは78年から)に移り住みはじめ、21世紀に入り開発が進み、マンハッタンの不動産価格高騰を契機に一層拍車がかかっています。2007年の歴史保存地区指定も追い風になり、明治時代に建てられた工場群が外装をそのまま保存しつつ、特徴を生かし個性的かつ現代的な住宅に生まれ変わっています。石畳の街には映画の撮影が絶えません。
ブルックリン橋とマンハッタン橋にはさまれたこの一帯は19世紀後半に工業地帯として栄えましたが、その後の空洞化に伴い、忘れ去られたエリアでした。しかし、ウオーターフロントの魅力、マンハッタンをつなぐフェリーの就航などで個性的なギャラリー、ショップ、レストランやカフェが続々出店し現在に至っています。
私は先週、偶然その内の一つのアパートを内見する機会がありました。それは1905年建築の元靴工場でイーストリバーからわずか3ブロックのウオーターストリートとフロントストリートまたがる7階建てで、2012年にリストレーションを完了しています。
134ユニットある部屋は全て建設当時の趣を残し、オリジナルの梁(はり)や柱をむき出しにした独特のデザインがダンボらしさを主張。特徴的な縦長の特大サイズの天井まで届く窓は工場時代の採光の工夫がしのばれます。マンハッタンでは9フィートが当たり前の天井はここでは平均15フィートとまるで規格外の世界です。
室内の装備は最新式を採用。イタリアンデザインの水周り、オープン・キッチン、アイランド・カウンター、広大なフィットネスジム、ヨガ・ルーム、子供用のプレールーム、バーベキューエリアやルーフデック、ロビーには流行のコーヒーバーとアメニティもめじろ押し。
内見中にこれほど至れり尽くせりなら、ダンボのアパート賃料がマンハッタンを超えるのも納得です。もし、ご興味あるお客さまがいらっしゃれば一見は百聞にしかずです。いつでもご同行いたします。(タイチ不動産 茂古沼孝)
(次回は10月第3週号掲載)
〈記事提供〉タイチ不動産 228 E 45th St. Suite 1800, NYC TEL:212-983-7000 www.taichirealty.com 短期アパート