〈コラム〉「COACH A」竹内 健 「対話で変える!」第11回

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対話の力(11)〝アカウンタビリティ〟(その1)

こんにちは。COACH Aの竹内です。前号まで5回にわたり、“フィードバック”についてお話してきました。今号からは、リーダーの条件として欠かすことのできない“アカウンタビリティ”について考察したいと思います。
今月、アップル社は「iPhone6」や新製品「アップル・ウォッチ」を発表し、世界中で大きな関心を集めています。 アップル社と言えば誰もがいまだにスティーブ・ジョブズ氏を思い浮かべるのではないでしょうか。彼の高いカリスマ性や創造力がアップル社や世界全体に与えた影響は計りしれません。
しかし、そのジョブズ氏も病をきっかけに現社長のティム・クック氏を後継者として指名し、トップリーダーの交代をせざるを得ませんでした。どんなリーダーも、その組織において一定の時期が来れば交代していきます。
つまり、リーダーは短期的な成果のみならず、その組織が長期的な成長を遂げていくために、次世代のリーダーや後継者を育成していくことが求められます。
最近では、後継者を育成する際に、どのくらい強くその人が“アカウンタビリティ”を強く発揮できるリーダーかを問うことが増えています。
アカウンタビリティとは、「完全に主体的に、自らの責任において考え行動を起こしていく意識」のことを言います。
ジョブズ氏は、明らかにアカウンタブルな経営者だったと言えると思います。
いわゆるカリスマ経営者は、ワンマンで部下や周囲に一方的な指示や命令を下すこともあるかもしれません。しかし、それだけではなく、現場に下り、顧客の元に足を運び、必要な情報やリソースを自ら取り、リスクや責任を徹底的に思量した上で、率先して行動するリーダーでもあることが多いように思います。ジョブズ氏は間違いなくそのようなリーダーでした。
一方、ジョブズ氏から引き継いだ現経営陣は、彼の意思と功績をさらに発展させるために、どの程度のアカウンタビリティを持って経営に臨んでいるでしょうか。
クック氏の経営者としての実力については、賛否両論があり、まだ評価は確定していないといえるでしょう。彼のアカウンタビリティの強さが今後どのように表現されていくかに私は注目しています。
コーチングの目的の一つは、個人のアカウンタビリティを高めることにあります。次回以降、さらに深掘りしていきますので、楽しみにしていてください。
(次回は10月第4週号掲載)
02222coach_a 〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人 への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。
【ウェブ】www.coacha.com/usa/

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