〈コラム〉Dr. 鈴木の病める者を癒やせ【第4回】

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がん検診では寿命は延びない

日本の年間死亡者数は約114万人。そのうち約34万人が「がん」で亡くなっています。それだけに医学会や医療行政も、がんの早期発見、早期治療を至上命題に揚げ、一般的な健康診断から始まり、人間ドッグ、がん検診を奨励しています。
定期的な健診は健康保持のカギ――私たちは漠然と、いや、心からそう信じ切っています。しかし、その常識は本当に正しいのでしょうか?
医療統計学などの専門家で新潟大学医学部教授(予防医療学)の岡田正彦氏は、「じつはがん検診の結果を真っ向から否定するデータが存在するのです」と、約20年前にチェコスロバキアで行われた肺がん検診の実効性を調べるための大規模追跡調査のことを話されました。
この検査では健康な男性を集め、年2回の肺がん検査を3年続けて受けるグループと、受けないグループに分けて、胸部レントゲン写真と喀痰糊胞診で観察しました。3年間の観察終了後、その後の健康状態を調べるために、さらに3年間、両グループの人たちに年1回ずつの胸部レントゲン検査を受けてもらい、肺がんの発症率を調べました。
「普通に考えれば、きちんと検査を受けてきたグループの方が、そうでないグループより肺がんになる割合も死亡率も少なくなるはずです。ところが結果は逆でした。検診を受けていたグループの方が多く肺がんになり、より多くそれで亡くなったのです。つまり、“肺がん検診をうけると寿命が短くなる”との結果になったのです」(岡田氏)
この調査結果は当初、「単なる偶然」「何かの間違い」などと多くの専門家の批判にさらされました。しかし同じ頃、先進医療大国のアメリカを含む各国でも同様の大規模調査が行われ、全く同じような結果が出たことで、大勢は決したのです。つまり、「肺がん検査を受けると寿命が短くなる」ことが、実証されたといってもよいのではないでしょうか。
(筆者が寄稿したアスパラクラブ通信からの抜粋)
(次回は11月第3週号掲載)

 

0719-eldersDr Suzuki Picture 〈プロフィル〉鈴木眞(すずき・まこと) 1935年生まれ。58年早稲田大学卒業。総合商社開発課長を経て日米合弁企業マーケティング担当取締役、日独合弁企業社長を歴任。のち脳血栓に倒れる。ゲリー・マーチン博士の指導によるビタミン・ミネラル投与法を実践して健康の回復に成功。米国ネーチャーズサンシャイン社日本代表などを務めた後、88年米国エルダース栄養科学研究所を設立して独自ブランド「M10-8」シリーズのサプリメントを開発。米国栄養薬理学界会員、栄養学博士(Ph.D in Metabolic Nutritional Science)。
【ウェブ】www.eldersinternational.org

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